【保存版】外の方が涼しい時にエアコンは必要?最適な運転方法と断熱リフォームの効果 公開日:2025年9月17日/更新日:2025年9月24日 監修者斎木 守 住宅省エネアドバイザー/第二種電気工事士/しろあり防除士 三重県出身。学生時代は長野県で農業・畜産を学び、地域のコミュニティ活動にも積極的に参加。寒さには人一倍敏感で、自身も松本市で築30年の木造住宅に暮らし、経験を踏まえて長野県の断熱性能向上を支援しています。YouTube「テオリアチャンネル」でも活躍中。新築・リフォームを含め、これまでに1,800棟以上の断熱工事に携わっています。 夜になって外の空気はひんやりしているのに、部屋の中はいつまでもムッと暑い──そんな経験をしたことはありませんか。「外の方が涼しいとき、エアコンをつけたままにするべきか?それとも窓を開けたほうがいいのか?」と迷う方は多いでしょう。 実はこの悩みの背景には、住宅が昼間にため込んだ熱や湿度が大きく関係しています。本記事では、外が涼しいのに部屋が暑い理由を整理しながら、エアコンと窓開け換気の正しい判断基準、今すぐできる快適対策、そして根本から解決するための断熱リフォームまでを詳しく解説します。 目次 Toggle 家の中より外の方が涼しいと感じるのはなぜ?蓄熱と放熱のタイムラグ湿度による体感温度の悪化外が涼しい時にエアコンをどう使うべきか判断の基本フロー窓を開けるべき条件エアコンをつけるべき条件今すぐできる快適対策サーキュレーターの置き方窓まわりの工夫根本的に改善するための断熱リフォーム内窓設置で夏の熱ごもりと冬の寒さを同時改善天井・小屋裏断熱で蓄熱を根本から減らす断熱リフォームの費用と補助金シミュレーションよくある失敗例と注意点外気導入の失敗例遮熱フィルム・シートの誤用断熱リフォームでの仕様選定ミス失敗を防ぐためのポイント実際の改善事例とデータで見る効果【事例:長野県・築10年木造住宅】データで見る効果のまとめ快適な住まいづくりに向けた次のステップ補助金を使ったリフォームの流れ無料診断と補助金相談のご案内 家の中より外の方が涼しいと感じるのはなぜ? 家の中より外の方が涼しく感じる。これは単に「空気がこもっている」だけではなく、住宅の構造や熱の移動の仕組みによるものです。この現象は一般に「熱ごもり現象」と呼ばれ、住宅特有の条件が重なることで起こります。ここではその仕組みを整理してみましょう。 蓄熱と放熱のタイムラグ 日中、屋根や外壁は強い日射を浴び続けます。屋根材や外壁材は太陽からの熱を吸収し、その熱がゆっくりと建物内部へと伝わっていきます。特に屋根裏や2階部分は直射日光の影響を受けやすく、昼間に蓄えられた熱が夜間もじわじわと放出されるため、外気温が下がっても室温がなかなか下がりません。 さらに、鉄骨やコンクリートなど熱容量の大きい建材を使った住宅では、一度ため込んだ熱が冷めにくいという特徴があります。結果として、外は25℃まで下がっていても、室内は30℃近いままというケースも珍しくありません。これが「外の方が涼しいのに部屋が暑い」と感じる大きな原因です。 湿度による体感温度の悪化 もう一つ見逃せないのが「湿度」です。体感温度は単純な気温だけではなく、湿度の影響を強く受けます。人は汗を蒸発させることで体温を下げますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体は熱を逃がしづらくなります。 たとえば、外気温が25℃でも湿度が80%を超えると、体感温度は28℃以上に感じることがあります。夜間に窓を開けても、湿気を多く含んだ外気を取り入れてしまえば、かえって寝苦しくなるのです。特に日本の夏は高温多湿であるため、「外が涼しいのに部屋が暑い」と感じる背景には、温度だけでなく湿度も大きく関係しているといえます。 このように、熱ごもり現象は「昼間の蓄熱」と「湿度による体感温度の悪化」という2つの要素が重なって起こります。だからこそ、エアコンの使い方や窓の開け方を工夫するだけでなく、住宅そのものの断熱・遮熱性能を見直すことが、根本的な解決につながるのです。 外が涼しい時にエアコンをどう使うべきか 夜になり外気温が下がってくると、「窓を開けて風を入れたほうがいいのか、それともエアコンをつけたままのほうがいいのか」と迷う方は多いと思います。判断のポイントは外気温・室温・湿度の3つです。これらを確認することで、その日の最適な過ごし方が見えてきます。 判断の基本フロー 1.外気温と室温を比較する 外気温が室温より明らかに低いかどうかを確認します。 2.湿度を確認する 室外が高湿度(70%以上)であれば、外気温が低くても蒸し暑さで寝苦しくなる可能性があります。 3.状況に応じて行動を選択 – 外気温が低く湿度も低い → 窓を開けて換気(ナイトパージ) – 外気が低いが湿度が高い → 除湿器やエアコンの除湿運転 – 外気が高い → エアコンの冷房または弱冷房+サーキュレーター 窓を開けるべき条件 外気温が室内より低く、さらに湿度が低いときは、ナイトパージ(夜間換気)が有効です。家が昼間にため込んだ熱を外に逃がすことで、自然に室温を下げられます。 窓を開ける際のポイントは次の通りです。 対角線にある窓を開ける 風上にある窓を小さく開け、風下にある窓を大きく開けることで、風が通り抜けやすく換気効率が高まります。 上下の差を利用する 1階と2階の窓を同時に開けると、煙突効果で熱気が上から抜けていきます。 防犯・虫対策を忘れない 網戸を必ず使用し、人が侵入しにくい窓だけを開ける工夫が必要です。 この方法を上手に活用すれば、冷房を使わなくても快適な眠りにつける夜が増えます。 エアコンをつけるべき条件 一方で、湿度が70%以上と高いときは窓を開けると逆効果です。その場合は、エアコンを活用したほうが快適に過ごせます。 無理なく効率的にエアコンを使用する方法は次の通りです。 除湿(ドライ)運転を活用 湿度を下げることで体感温度が下がり、寝苦しさが和らぎます。 弱冷房運転で安定させる 強い冷房よりも弱冷房で長く運転した方が室温は安定しやすく、電気代も抑えられます。 風向きとサーキュレーターの工夫 冷たい空気は下に溜まりやすいため、エアコンの風向きは「水平」か「上向き」に設定すると部屋全体に広がります。サーキュレーターは床付近の冷気をかき混ぜる役割を担い、空気を循環させることで効率的に涼しさを感じられます。 このように、外が涼しいからといって必ずしも窓を開けるのが正解ではありません。湿度や空気の流れまで考慮することで、その日の最適解を選ぶことができます。 \おすすめの記事/ ▶寝るときのエアコンはつけたまま?快眠と節電を叶える使い方と根本対策 今すぐできる快適対策 エアコンの設定を工夫するだけでなく、少しの工夫で室内の快適さを大きく変えることができます。ここでは、今日から取り入れられる低コストの対策をご紹介します。手軽にできる方法ばかりなので、ぜひ試してみてください。 サーキュレーターの置き方 サーキュレーターは、単に「風を送る道具」ではなく、空気を動かして室内の温度差をなくすためのツールです。配置や使い方を工夫するだけで、体感温度が2〜3℃変わることもあります。 給気として使う場合 外が涼しく湿度が低いときは、窓辺にサーキュレーターを設置して外気を取り込みます。部屋の奥に風を送り込むことで、効率的に涼しさを広げられます。 排気として使う場合 部屋の熱気を逃がしたいときは、窓に向けて外へ空気を押し出すように設置します。特に2階の窓で排気すると、こもった熱を効果的に外に排出できます。 エアコンとの併用 前述したように、冷房中はサーキュレーターを床と水平に稼働することで、床に溜まった冷気をかき混ぜて、部屋全体に冷気を行き渡らせられます。扇風機を体に直接当てるよりも、空気を循環させる使い方が効果的です。 \おすすめの記事/ ▶【冷房効率が劇的アップ】サーキュレーターの正しい使い方と断熱の重要性 窓まわりの工夫 住宅に侵入する熱の約7割は「窓」からといわれています。そのため、窓まわりの工夫はコストをかけずに効果を感じやすい対策です。 遮熱カーテン 室内側で日射を遮り、直射日光を和らげます。取り付けやすく費用も手頃ですが、ガラスに到達した熱が部屋に伝わってしまうため、効果は限定的です。 外付けシェード 日射を窓の外で遮るため、室内への熱流入を大幅に減らせます。夏の西日や南面の大きな窓に特に有効です。取り外しが簡単なタイプも多く、季節によって使い分けられます。 引用元:3Mジャパン様 遮熱フィルム 窓ガラスに直接貼ることで日射を反射します。紫外線カットや家具の日焼け防止にも役立ちますが、ガラスの種類によっては施工できない場合があるため注意が必要です。 これらの工夫を組み合わせることで、エアコンに頼りすぎずに快適な空間をつくることが可能です。「外の方が涼しいのに部屋が暑い」状態を少しでも和らげたい方は、まず窓と空気の流れに注目してみることをおすすめします。 根本的に改善するための断熱リフォーム 窓の工夫やサーキュレーターの活用は手軽で効果的ですが、どうしても限界があります。特に「外が涼しいのに部屋が暑い」という熱ごもりの問題は、住宅そのものが日中に蓄熱してしまう構造に原因があるため、根本的な解決には断熱リフォームが有効です。ここでは弊社で行っている夏の暑さにおすすめの断熱リフォームを紹介します。 内窓設置で夏の熱ごもりと冬の寒さを同時改善 内窓を取り付けると、既存の窓と内窓の間に空気層が生まれ、熱の出入りを大幅に抑えられます。特に夏は外からの熱気を、冬は室内の暖気を逃がしにくくなり、一年を通じて快適性が向上します。 天井・小屋裏断熱で蓄熱を根本から減らす 夏に60℃を超えることもある天井裏。ここに断熱材を十分に施工することで、日中の蓄熱を抑え、夜間の熱ごもりを防げます。 弊社では、高い断熱性・吸音性・耐火性を備えた「セルロースファイバー」を使用しています。この綿状の断熱材は隙間なく施工でき、既存の断熱材の上から追加施工することも可能です。天井を壊すことなく、屋根裏に入って施工できるため、工期が短く余計な費用が掛かりません。 断熱リフォームの費用と補助金シミュレーション 断熱リフォームは効果が高い一方で、初期費用が気になるところです。しかし、国や自治体の補助金を活用すれば1〜5割程度の負担軽減が可能です。35坪の家の”2階天井に断熱材セルロースファイバーを施工”&”すべての窓に内窓設置”した場合の、工事費・補助金額・実質負担額を見てみましょう。 工事代 補助金 2階天井 施工面積:46.3㎡ セルロースファイバー厚み:200mm 24万円 3万円 1階の窓 掃き出し2、腰高6 81万円 29.8万円 2階の窓 腰高9 57万円 25.2万円 総工事費 162万円 合計補助金額 58万円 実質負担額 104万円 ※内窓の仕様:Low-E複層ガラス、樹脂サッシ 総工事費162万円。補助金58万円を差し引き、実質負担額は104万円となります。 断熱リフォームは「今すぐできる工夫」の延長線上にあり、長期的な快適性と省エネ効果を実現する投資です。住宅の築年数や生活スタイルに応じて、また、補助金を活用してお得に最適な組み合わせを検討すると良いでしょう。 \おすすめの記事/ ▶【大型補助金ラストイヤー】2025年断熱リフォームで活用できる補助金を完全解説!最大260万円支給も! \<補助金活用>断熱リフォームのご相談受付中/ まずは、「無料の断熱診断」をお選びください。 以下のフォームから簡単にお申し込みいただけます。 ▶無料の断熱診断お申し込みはこちら よくある失敗例と注意点 「外の方が涼しいのに、窓を開けたら逆に蒸し暑くなった…」という経験をされた方は少なくありません。原因は、気温だけを見て判断し、湿度や風の流れを考慮していないことにあります。特に日本の夏は湿度が高いため、外気を取り込むことでかえって寝苦しさが増すケースが多いのです。ここでは、よくある失敗例と注意点をまとめます。 外気導入の失敗例 外が涼しいと思って窓を開けたが、湿度が高く寝苦しくなった → 気温が低くても湿度が高いと体感温度は下がらず、カビやダニの発生リスクも高まります。 窓を開けたまま寝て、防犯や虫の侵入に悩まされた → 夜間の換気は有効ですが、網戸や防犯対策を忘れると別の問題を招きます。 注意点:窓を開ける際は「外気温+湿度」の両方をチェックし、防犯・虫対策を必ず行いましょう。 遮熱フィルム・シートの誤用 遮熱シートを貼ったのに思ったほど涼しくならない → 室内側に貼るタイプはガラスに熱が伝わった後に遮るため、効果が限定的です。 遮熱フィルムをすべての窓に貼ってしまった → 北面や冬に日射取得したい窓にまで施工すると、冬の暖かさまで遮ってしまい、逆効果になります。 注意点:方位や季節を考慮して、南面・西面など「日射が強い窓」に絞って使うのが正解です。 断熱リフォームでの仕様選定ミス 内窓を部屋の一部のみ施工して効果をあまり感じない →リビングの大きな窓のみ施工して、腰高窓や小窓に内窓をつけなかったため効果が限定的に。 天井断熱を施工したが、気流止めをしなかったため効果が半減 → 隙間から熱気が入り込み、断熱材の性能が十分に発揮されませんでした。 注意点:部分的な改修であっても、窓は部屋単位での施工がベスト。施工前に「どの部位に、どの仕様が最適か」をプロに確認し、気流止めや隙間処理などの基本も徹底してもらうことが重要です。 失敗を防ぐためのポイント ・気温だけでなく「湿度」を必ず確認する ・窓対策は「方位・季節」を踏まえて検討 ・断熱リフォームは「仕様選定」と「施工精度」が効果の分かれ目 このような失敗を避けることで、せっかくの対策を無駄にせず、効率的に快適な環境を実現できます。 実際の改善事例とデータで見る効果 実際に断熱リフォームを行ったご家庭では、どのような変化があったのでしょうか。ここでは、弊社が施工した事例をもとに、お客様の声をご紹介します。 【事例:長野県・築10年木造住宅】 天井断熱 内窓設置 施工内容:天井断熱・リビングの内窓追加 お客様の声: 「リフォーム前は、温度ムラがあり部屋の場所によって暑い・冷房で寒いと感じることがありましたが、リフォーム後は部屋全体の温度が統一されたのか、部屋のどこにいても快適に感じます。2階へ上がったときのモワッとした暑さによる不快感が軽減されました。エアコンの使用頻度も前より抑えられたように感じています。」 導入後の変化: エアコンの設定温度24℃→27℃でも快適に。 ▶内窓設置について ▶暑さ対策リフォーム「2階快適プラン」について 実際に、国土交通省の「住宅の断熱性能とエネルギー消費に関する調査」でも、断熱改修後のエアコン使用量が15〜25%削減された例が報告されています。 データで見る効果のまとめ 対策 施工前 室温 施工後 室温 光熱費の変化 快適性の変化 内窓設置 29℃ 26.5℃ 冷房使用時間 約-2時間 夜間の寝苦しさ改善、冬の結露も軽減 天井断熱施工 31℃ 27℃台 月-3,000円程度 2階の暑さ改善、エアコン弱運転でも快適 こうした事例からも分かるように、断熱リフォームは単なる「涼しさ」だけでなく、電気代削減や健康面の安心感にもつながる投資です。「外が涼しいのに部屋が暑い」問題を根本から解消したい方には、大きなメリットがあります。 快適な住まいづくりに向けた次のステップ ここまでご紹介してきたように、窓まわりの工夫やエアコンの使い方を改善するだけでも一定の効果は得られます。しかし、根本的に「外が涼しいのに部屋が暑い」状態を解消するには、断熱リフォームが最も確実な方法です。そして今なら、国や自治体の補助金制度を活用することで、費用を大きく抑えて導入できます。 補助金を使ったリフォームの流れ 断熱リフォームに補助金を利用する際の一般的な流れは以下の通りです。 1.無料診断・現地調査 窓や天井・床下などの断熱状況を確認し、暑さの原因を特定します。 2.お見積り(補助金シミュレーション) ご希望やご予算に合わせてお見積りを作成。国・自治体の補助金制度を組み合わせ、どのくらいの負担軽減ができるかを試算します。 3.申請手続き 工務店やリフォーム会社が申請をサポートするケースが多いため、複雑な手続きも安心です。 4.施工内容の決定・工事実施 内窓設置や天井断熱など、生活しながら短期間で行える工事も多数あります。 5.補助金振込 工事完了後に報告書を提出し、補助金が交付されます。 無料診断と補助金相談のご案内 断熱リフォームは、単に「涼しくする」だけではなく、健康・省エネ・快適性を一度に高められる住まいの投資です。今日からの工夫に加えて、ぜひ補助金を活用した本格的な対策も検討してみてください。 「我が家にどんな断熱対策が必要か分からない」「補助金が使えるのか知りたい」という方は、まず無料診断から始めるのがおすすめです。 以下のフォームから簡単にお申し込みいただけます。 ▶無料の断熱診断お申し込みはこちら 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 自身も新築の際には、断熱性・防音性などに惚れ込み、断熱材「セルロースファイバー」を選択しました。 ふわふわかわいい「セルロースファイバー」の情報、寒い住宅の原因や対策などなど・・・体もお財布も温める情報を発信していきます!