2階が暑くない家にする方法|屋根・窓・断熱の効果的な対策まとめ 公開日:2025年7月24日/更新日:2025年8月5日 監修者斎木 守 住宅省エネアドバイザー/第二種電気工事士/しろあり防除士 三重県出身。学生時代は長野県で農業・畜産を学び、地域のコミュニティ活動にも積極的に参加。寒さには人一倍敏感で、自身も松本市で築30年の木造住宅に暮らし、経験を踏まえて長野県の断熱性能向上を支援しています。YouTube「テオリアチャンネル」でも活躍中。新築・リフォームを含め、これまでに1,800棟以上の断熱工事に携わっています。 「2階だけが異常に暑い…」「1階は快適なのに、2階はサウナのよう」——そんな悩みを抱えたことはありませんか? 夏になると特に多くなるこの現象、実は住宅の“つくり”や“断熱性”に原因があるかもしれません。 本記事では、なぜ2階が暑くなってしまうのかという構造的な理由から、冷房に頼りすぎずに快適な室温を保つための具体的な対策までを徹底解説します。遮熱・断熱・通風・サーキュレーターの使い方など、手軽にできる応急処置から、根本改善につながる断熱リフォームの方法、さらには補助金を活用してお得に快適な住まいを手に入れる方法まで網羅しています。 『2階が暑くない家』を手に入れたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 目次 Toggle なぜ2階だけが暑くなるのか?構造的な理由を知る屋根からの輻射熱が室温上昇の要因空気がこもりやすい間取りと風通しの悪さ暑くない2階をつくるための基本対策エアコンだけでは限界。冷やす前に「逃がさない」工夫をすぐにできる!手軽な暑さ対策(応急処置)根本から解決!断熱リフォームによる暑さ対策冷房効率を劇的に上げる断熱リフォームの方法施工事例:断熱リフォーム後の冷房効果の変化弊社で扱う断熱材『セルロースファイバー』の特徴補助金活用でお得に断熱リフォーム2階の暑さを根本から解決したい方へ無料診断・相談受付中!プロが住まいの断熱性をチェックご相談・無料診断をご希望の方へ なぜ2階だけが暑くなるのか?構造的な理由を知る 2階が1階よりも圧倒的に暑くなる——この現象には明確な構造的原因があります。単に「日当たりがいいから」では片づけられない、住宅のメカニズムを解説します。 屋根からの輻射熱が室温上昇の要因 2階の暑さの根本的な原因の1つが、「屋根からの輻射熱(ふくしゃねつ)」です。 夏の強烈な日差しが屋根に直接当たると、その熱は屋根材に吸収され、じわじわと建物内部へと伝わっていきます。特に屋根裏(天井裏)の空間は熱がこもりやすく、日中は60℃を超えることも珍しくありません。この高温状態が、天井を通して室内にじわじわと熱を伝える“輻射”現象を引き起こすのです。 ■ 輻射熱とは? 物体が持つ熱が、直接空気を介さずに別の物体へ放射によって伝わる現象。屋根裏が高温になると、その熱が天井を通して2階の居室に届きます。 とくに断熱材が不十分な住宅や、築年数の古い家では、この輻射熱を遮る力が弱く、2階の居室が「熱のこもる温室状態」になってしまいます。日が沈んだあとも天井や壁から熱が放出され続け、夜になっても室温がなかなか下がらないのはこのためです。 空気がこもりやすい間取りと風通しの悪さ 2階が暑くなるもうひとつの理由は、空気がこもりやすい構造にあります。暖かい空気は軽いため、自然と建物の上部に上がっていきます。その結果、1階よりも2階のほうが常に温度が高くなりやすいのです。 しかし、それだけではありません。住宅の間取りや通気設計も、空気の滞留に大きな影響を及ぼします。 たとえば以下のような要素があると、空気の流れが阻害されてしまいます。 南面に大きな窓があるが北側に窓がない(風が抜けない) 吹き抜けや階段室がないため上下階の空気が分断されている 屋根裏に換気口が設けられていない・機能していない 断熱・気密性能が低く、外気の熱が侵入しやすい さらに、最近の高気密高断熱住宅では、気流の設計が適切でないと「空気が滞る部屋」ができやすくなる傾向もあります。これは冷房効率の悪化や、空調機器の負担増にもつながるため注意が必要です。 空気の通り道をつくることは、冷房の効率を高めるうえでも極めて重要です。風通しをよくする間取りの工夫や、小屋裏換気口(棟換気・軒換気)などのパッシブ換気技術も、2階が暑くない家をつくるうえで欠かせない視点となります。 暑くない2階をつくるための基本対策 2階の暑さをなんとかしたい——そう思ってまずエアコンの設定温度を下げてしまう方は多いのではないでしょうか。けれども、冷房頼みの対処法では電気代がかさむだけで、肝心の「暑さの原因」までは解決できません。この章では、2階の暑さ対策における基本的な考え方と、すぐに取り入れられる工夫をご紹介します。 エアコンだけでは限界。冷やす前に「逃がさない」工夫を エアコンは快適な室内環境を保つために欠かせない設備ですが、室内に熱がどんどん侵入してくる状態のままでは、冷房効率は大きく低下します。特に2階は屋根からの輻射熱やこもりやすい空気の影響で、「冷やしても冷やしても暑い」という悪循環に陥りがちです。 この状態を根本から変えるには、「冷やす」前に「熱を入れない」「逃さない」工夫が不可欠です。つまり、2階の暑さ対策の基本方針は次の2点に集約されます。 断熱性を高めて、屋根や窓からの熱の侵入を抑えること 空気を循環させ、熱がこもらない環境を整えること(気流コントロール) とくに注目すべきなのが、屋根裏や天井部分の断熱性能です。屋根から伝わる熱を遮ることで、天井からの輻射熱の影響を大幅に軽減できます。また、窓や開口部の断熱・遮熱も、日射の侵入を抑えるうえで重要です。 一方で、室内の空気が動かずに滞留していると、冷房された空気が部屋全体に行き渡らず、効率が著しく下がります。サーキュレーターや換気計画を活用して、空気の流れをデザインすることも不可欠です。 エアコンの設定温度を下げるだけでなく、「熱を通さない家づくり」へと視点を変えること。これが、電気代を抑えながら、2階が暑くない家を実現するための鍵となります。 すぐにできる!手軽な暑さ対策(応急処置) 本格的なリフォームを行う前でも、手軽にできる工夫で2階の暑さを和らげることは可能です。以下は、すぐに取り入れられる暑さ対策の具体例です。 ■ 窓からの熱を遮る 遮熱カーテンや遮光フィルムを取り付けることで、日射熱の約70〜80%をカットできます。 南・西向きの窓は特に強い直射日光が差し込むため、重点的に対策すると効果的です。 ■ 空気を循環させる(冷房使用時) サーキュレーターで床と平行に風を送り、床に滞留している冷たい空気をかき混ぜると、体感温度の改善につながります。 冷房をつける前にこもった熱気を逃がす意味で、対角線上の窓を開けるなど、自然な気流を使うのも有効です。 ▼冷房の設定温度を下げずに体感温度を下げる「サーキュレーター」の使い方、詳しくはこちらの記事もご覧ください。 【冷房効率が劇的アップ】サーキュレーターの正しい使い方と断熱の重要性 ■ 換気扇や小屋裏換気の活用 天井裏に換気扇を設置することで、屋根裏のこもった熱気を屋外に排出できます。 すでに換気口がある場合は、ホコリなどで詰まっていないか点検を。 ■ 就寝時の暑さ対策として 熱帯夜は就寝時にも暑さが続くため、冷房のタイマー運転+風量調整機能付きのサーキュレーターを併用すると快眠しやすくなります。 ベッドの位置を変えるだけでも、空気の流れを妨げにくくなることがあります。 ▼快眠のためのエアコン設定やポイントについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。 寝るときのエアコンはつけたまま?快眠と節電を叶える使い方と根本対策 これらの方法はすべて、リフォームなしで実行可能な応急処置ですが、あくまで一時的な対策にすぎません。本格的に快適な住環境を求める場合は、次の章で紹介するような「断熱リフォーム」による根本解決が欠かせません。 根本から解決!断熱リフォームによる暑さ対策 2階の暑さに対して、サーキュレーターや遮熱カーテンといった応急処置も一定の効果はありますが、根本的な快適性の改善には限界があります。真に「暑くない2階」を実現するには、建物そのものの断熱性を見直すことが欠かせません。 特に影響が大きいのが、以下のような開口部や構造です。 窓:住宅の開口部の中でもっとも熱の出入りが激しい。古いアルミサッシや単板ガラスは、外気温の影響をダイレクトに受ける。 天井・屋根:夏場は太陽の直射で屋根が高温になり、そこから輻射熱として室内に熱が伝わる。 壁:断熱材が入っていない、あるいは経年劣化で性能が著しく低下している場合、外壁の熱がそのまま伝わる。 こうした構造的な断熱の弱点があると、エアコンの冷気はまるで“穴の開いたバケツ”のように失われていきます。つまり、サーキュレーターや遮熱カーテンなどではカバーしきれない根本的な課題が存在するのです。 冷房効率を劇的に上げる断熱リフォームの方法 では、どうすれば冷房効率の悪さを根本から改善できるのでしょうか。答えは、「断熱リフォーム」です。 断熱リフォームは、住まい全体の“熱の出入り口”を強化することで、冷暖房効率を大きく改善する方法です。 以下は、特に冷房効果の向上に寄与する代表的な断熱リフォームの例です。 ■ 断熱窓への交換 アルミサッシ+単板ガラスといった断熱性能の低い窓から、Low-Eガラス+樹脂サッシなどの断熱性能の高い窓に交換することで、夏の暑さを和らげることができます。 ■ 内窓設置(二重窓化) 今ある窓の内側にもう1枚窓を取り付けることで、断熱・遮熱・防音効果を1度に向上。冷暖房効率がアップします。 ■ 天井・壁への断熱材施工 天井からの熱の侵入、壁からの熱気や冷気の漏れを遮断することで、室温の安定性が向上します。 これらの対策を講じることで、エアコンの設定温度を28℃にしても、体感的には26℃と感じられる快適な住環境をつくることが可能になります。しかも、冬場の暖房効果も向上するため、冷暖房にかかるコストを年間でトータルに削減できます。 施工事例:断熱リフォーム後の冷房効果の変化 断熱リフォームを行ったご家庭からは、「冷房の効きが格段に改善された」という声が多数寄せられています。以下は、その一例です。 【事例:長野県・築10年木造住宅】 施工内容:天井断熱・リビングの内窓追加 お客様の声: 「リフォーム前は、温度ムラがあり部屋の場所によって暑い・冷房で寒いと感じることがありましたが、リフォーム後は部屋全体の温度が統一されたのか、部屋のどこにいても快適に感じます。2階へ上がったときのモワッとした暑さによる不快感が軽減されました。エアコンの使用頻度も前より抑えられたように感じています。」 導入後の変化: エアコンの設定温度24℃→27℃でも快適に。 ▶内窓設置について ▶暑さ対策リフォーム「2階快適プラン」について 実際に、国土交通省の「住宅の断熱性能とエネルギー消費に関する調査」でも、断熱改修後のエアコン使用量が15〜25%削減された例が報告されています。 補助金を活用した施工例も多数あり、断熱リフォームのハードルは以前よりも下がっています。 冷房の効きに不満がある場合は、「断熱から考える」ことが根本的な解決策となります。 弊社で扱う断熱材『セルロースファイバー』の特徴 断熱材にも種類がありますが、弊社ではセルロースファイバーを使用しています。 セルロースファイバーとは、新聞などの古紙を再利用しホウ酸を含ませた木質繊維系の断熱材です。 特性 詳細とメリット 高い断熱性 熱伝導率0.040W/mK程度で高性能グラスウールと同等以上。夏は外の熱気、冬は室内の暖気を逃がしにくい 調湿性能 木質繊維が湿気を吸放出し、壁内結露を抑制。実測では壁体内湿度が安定し内部結露を防いだとの報告 (J-STAGE) 環境負荷が小さい 原料の80% 以上がリサイクル古紙。製造時のCO₂排出も低く、サステナブル 防音・防火 高密度吹込みにより45dB以上の遮音、ホウ酸処理で準不燃にも対応 高い断熱性だけでなく、様々な効果を発揮する素材といえます。 ▼セルロースファイバーについて詳しくはこちら セルロースファイバー断熱材の魅力とは? – 特徴・他断熱材との違い・施工事例 – 補助金活用でお得に断熱リフォーム 断熱リフォームは初期費用が大きいため、国の大型補助金+自治体独自の助成金を組み合わせると負担を大きく減らせます。代表的な制度をまとめると次の通りです。 制度名(2025 年度) 主な対象工事 補助上限額 先進的窓リノベ2025事業 高性能内窓・外窓交換・ガラス交換 200万円/戸 子育てグリーン住宅支援事業 断熱改修(天井・壁・床など)・開口部(窓・玄関ドアなど) 60万円/戸 長野県 信州健康ゼロエネ住宅助成金 断熱改修(天井・壁・床など)・開口部(窓・玄関ドアなど) 140万円/戸 ▼補助金について詳しくはこちら 【大型補助金ラストイヤー】2025年断熱リフォームで活用できる補助金を完全解説!最大260万円支給も! ▼松本市民はさらにお得! 【松本市民限定】窓の断熱リフォームで国と市の”補助金ダブル活用”!「住まいのゼロカーボン推進補助金」 ■ 補助金活用シミュレーション例 内窓設置+屋根裏にセルロースファイバー施工 補助金 補助金額 内窓設置 (大2か所・小15か所) 先進的窓リノベ 55万円 天井断熱 (施工面積:46.3㎡) 子育てグリーン住宅支援 3万円 総工事費 162万円 合計補助金額 58万円 実質負担額 104万円 ※内窓の仕様:Low-E複層ガラス、樹脂サッシ ※天井断熱:セルロースファイバー厚み200mm こうした補助金を上手に活用することで、断熱リフォームのハードルは大きく下がります。また、冷暖房の使用量が減れば、年間1〜2万円程度の光熱費削減も見込めるため、長期的には家計にもやさしい投資です。 「補助金の申請って難しそう…」という方もご安心ください。当社では、対象製品の選定から申請書類の作成・提出代行までワンストップで対応しています。次章では、こうしたリフォームを検討する方向けに、無料診断や相談サービスをご案内します。2階の暑さに悩む日々に、そろそろ終止符を打ちませんか? 2階の暑さを根本から解決したい方へ 「サーキュレーターや遮熱カーテンを試しても、2階がどうしても暑い」 「冷房を効かせても全然涼しくならず、電気代ばかりかさんでしまう」 そんなお悩みを抱えている方へ、まずは“今の住まいがどれだけ熱を通しやすいか”を把握することから始めてみませんか? 私たちは、地域密着で長野県内7,500件以上の断熱施工実績を持つ、断熱リフォームの専門会社です。これまで、暑さ・寒さに悩む多くのお客様のお住まいを、快適で省エネな空間へと改善してきました。 無料診断・相談受付中!プロが住まいの断熱性をチェック 現在、断熱リフォームをご検討中の方向けに、無料の現地診断・個別相談サービスを実施しています。 【無料断熱診断の主な内容】 天井・壁・床の断熱材の有無や厚みの確認 窓の断熱性能(単板/複層/Low-Eガラス等)の確認 断熱リフォームの必要性とコストの目安 補助金を活用した費用の抑え方 「とにかく暑さをなんとかしたいけれど、何から始めたらいいかわからない」 そんなときこそ、プロによる診断とアドバイスが役立ちます。補助金の活用についても、制度の最新情報をご案内しながら、スムーズな申請をサポートします。 ご相談・無料診断をご希望の方へ 診断・相談は完全無料・要予約 地域密着対応:松本市・安曇野市・長野市ほか長野県全域 実績・事例多数/補助金活用支援あり ご相談・お見積もりは無料です。 まずはお気軽にお問い合わせください。2階が暑くなくなるだけで、暮らしの質は大きく変わります。 ▼こちらから簡単にお申し込みいただけます ▶無料の断熱診断お申し込みはこちら 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 自身も新築の際には、断熱性・防音性などに惚れ込み、断熱材「セルロースファイバー」を選択しました。 ふわふわかわいい「セルロースファイバー」の情報、寒い住宅の原因や対策などなど・・・体もお財布も温める情報を発信していきます!