夏にエアコンなしで寝る方法|今夜すぐ・1週間・根本改善(内窓/天井断熱) 公開日:2025年9月4日/更新日:2025年9月11日 監修者斎木 守 住宅省エネアドバイザー/第二種電気工事士/しろあり防除士 三重県出身。学生時代は長野県で農業・畜産を学び、地域のコミュニティ活動にも積極的に参加。寒さには人一倍敏感で、自身も松本市で築30年の木造住宅に暮らし、経験を踏まえて長野県の断熱性能向上を支援しています。YouTube「テオリアチャンネル」でも活躍中。新築・リフォームを含め、これまでに1,800棟以上の断熱工事に携わっています。 夏の夜、「エアコンなしで寝たい」と考える方は少なくありません。電気代の節約や体の冷えすぎ防止のために試みる方も多いでしょう。しかし、高温多湿の環境で無理にエアコンを使わずに眠ることは、熱中症や脱水症状などの健康リスクにつながる危険性があります。大切なのは、状況に応じてエアコンを適切に使うことを前提にしながら、エアコンに頼りすぎない工夫を取り入れることです。 本記事では、今夜から実践できる快眠のための工夫から、1週間単位でできる住まいの改善、さらに根本的に暑さを抑える断熱リフォームまで、段階的に紹介します。 「エアコンなしでも安心して眠れる工夫」を知りたい方も、「なるべく少ない冷房で快適に過ごしたい」と考える方も、ぜひ参考にしてみてください。 目次 Toggle なぜ夏の夜は寝苦しいのか室温が下がらない「熱帯夜」のメカニズム屋根・壁の「蓄熱」が原因湿度と気流不足が眠りを妨げる健康リスクにもつながる今夜からできる!エアコンなしで寝る工夫扇風機・サーキュレーターの使い方窓の開け方と防犯対策湿気対策と除湿の工夫寝具と服装で涼しく眠る1週間単位でできる住まいの工夫日中の熱を持ち込まない工夫小屋裏や2階の熱気対策根本的に改善する方法(断熱リフォーム)内窓設置による夏の快適性向上天井・小屋裏断熱の効果費用と補助金制度実際の改善事例【事例:長野県・築10年木造住宅】快適な夏の睡眠環境を手に入れるために なぜ夏の夜は寝苦しいのか 夏の夜、布団に入ってもなかなか寝つけない、夜中に目が覚めてしまう――そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。単に「外が暑いから」だけではなく、住宅の構造や室内環境が大きく関わっています。ここでは、寝苦しさの背景にある要因を整理してみましょう。 室温が下がらない「熱帯夜」のメカニズム 熱帯夜とは、夜間の最低気温が25℃以上になる夜を指します。都市部ではアスファルトやコンクリートが昼間の熱を蓄えて放出する「ヒートアイランド現象」により、夜間でも気温が下がりにくい傾向があります。住宅も同じで、日中に屋根や壁が吸収した熱が夜になっても残り続けるため、室温が外気温より高止まりしてしまうのです。 屋根・壁の「蓄熱」が原因 特に木造住宅では、屋根裏や壁の内部にこもった熱がじわじわと室内に伝わります。例えば夏の晴れた日、屋根裏の温度は60℃近くに達することもあり、その熱が深夜まで居室に影響を与え続けます。断熱性能が低い家ほど、蓄熱の影響を受けやすく、夜になっても室温が下がりにくいのです。 住宅の蓄熱データ例 日中の外気温:34℃ ⇒ 深夜0時の外気温:26℃ 日中の屋根裏温度:60℃ 深夜0時の寝室温度:29℃ このように、外の気温が下がり始めても室内が蒸し暑いのは「家そのものが熱を抱え込んでいる」ことが主な理由です。 湿度と気流不足が眠りを妨げる もう一つの大きな要因が湿度です。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温を下げるための「気化熱」の働きが鈍ってしまいます。結果として体に熱がこもり、寝苦しさが続きます。また、気流が不足していると、空気の層が停滞し、熱や湿気が体の周囲にたまりやすくなります。 健康リスクにもつながる 寝苦しい夜は単なる不快感にとどまりません。体温が下がらず睡眠が浅くなることで、翌日の集中力や体調に影響を及ぼすほか、室内での熱中症リスクも高まります。特に高齢者や子どもは体温調整が苦手なため、夜間の環境が命に関わることもあります。 今夜からできる!エアコンなしで寝る工夫 エアコンを使わずに快適に眠りたいと考える方は多いですが、無理に我慢することは健康リスクにつながります。室温や湿度が高いときは、必要に応じてエアコンや除湿機を併用することが大切です。そのうえで、今夜からすぐに実践できる工夫をいくつか紹介します。 扇風機・サーキュレーターの使い方 扇風機を直接体に当てるのではなく、空気を循環させることが大切です。 また、サーキュレーターを使って「こもった熱気を外に逃がして、空気を循環させる」使い方も効果的で、家の中より外の方が涼しい場合に特に有効です。 ・壁や天井に風を当てる やわらかい風を部屋全体に広げる。 サーキュレーターを使えば、空気の撹拌や窓換気の補助にさらに効果的です。 ▼サーキュレーターと扇風機の違いや使い方、詳しくはこちら。 【冷房効率が劇的アップ】サーキュレーターの正しい使い方と断熱の重要性 窓の開け方と防犯対策 夜間に窓を開けて風を取り込むことも有効ですが、ただ開けるだけでは十分な通風は得られません。 ・入口と出口を作る 入口側(風上)は小さく、出口側(風下)は大きく開けると空気の流れがスムーズ。 ・扇風機/サーキュレーターと併用 出口側の窓に向けて「強」運転で送風し、熱気を効率よく外へ逃がす。就寝時には風量を弱めて体感を維持。 ・防犯対策 面格子を取り付ける、防犯性の高い網戸に替えるなど、安全面の工夫も欠かせません。 「涼しさ」と「安全性」の両立を意識することで、快適かつ安心して眠れる環境が整います。 湿気対策と除湿の工夫 寝苦しさの大きな原因は「湿度の高さ」です。湿度が高いと汗が蒸発せず、体温が下がりにくくなります。そこで快眠には「除湿」が欠かせません。 ・除湿機を活用 就寝1〜2時間前に稼働させて部屋をサラッとした空気に整える。 ・身近なアイテムで湿気を吸収 炭や新聞紙を寝室の隅に置くことで簡易的に除湿が可能。 ・短時間の換気 夜間に外気が比較的涼しい時間を見計らって窓を開け、空気を入れ替える。サーキュレーターの併用で効果アップ。 湿度をコントロールすることで、エアコンを使わずとも体感温度を下げる効果が期待できます。 寝具と服装で涼しく眠る 体に触れる寝具や服装を工夫することで、体感温度を大きく変えることができます。 ・接触冷感素材の寝具 冷たさを感じる繊維を使ったシーツや敷きパッドは、触れた瞬間に涼しさを実感できます。ただし効果は一時的なため、通気性の良い素材と組み合わせるのがおすすめです。 ・麻や綿素材 吸湿性・通気性に優れ、汗をかいてもベタつきにくい。洗濯しやすい点もメリット。 ・冷却ジェル枕・アイスノン 頭部を冷やすと体全体の熱感が下がりやすい。ただし直接肌に当てると冷えすぎや結露で不快になるため、タオルを巻いて使用するのがポイントです。 服装はなるべく薄手で通気性のある素材を選び、体の熱を逃がしやすい状態に整えましょう。 1週間単位でできる住まいの工夫 一晩でどうにかできる工夫もありますが、より効果を感じるには「日中に熱を家に入れない」「たまった熱を外へ逃がす」といった工夫が欠かせません。ここでは1週間ほどの準備期間があれば取り入れられる改善策を紹介します。 日中の熱を持ち込まない工夫 夏の住まいの大敵は「直射日光による日射熱」です。室内に入る熱の約7割は窓から侵入するといわれています。したがって、窓まわりの対策が最優先です。 ・すだれや外付けシェードで遮る 外側で日射を遮ると、熱が室内に到達する前にカットできます。すだれやサンシェードは設置も簡単で、1週間あれば準備可能です。特に西日が当たる窓は効果が大きく、夕方の室温上昇を和らげられます。 ・遮光カーテンだけでは不十分 室内側で熱を遮ろうとすると、すでに窓ガラスを通過した熱が室内に持ち込まれています。そのため「遮光カーテン=万能」ではなく、外付けシェードと組み合わせることで初めて効果を最大化できます。 このように、“外で遮る”対策が鍵です。簡易的であっても外付けの遮蔽物を加えるだけで、日中の温度上昇を抑え夜の寝苦しさを軽減できるでしょう。 小屋裏や2階の熱気対策 戸建て住宅では「2階が特に暑い」と感じる方が多いのではないでしょうか。これは構造的な理由が大きく関わっています。 ・屋根からの輻射熱 日中に直射日光を受けた屋根は高温になり、その熱が小屋裏(天井裏)にこもります。断熱や遮熱が不十分だと、その熱が夜になっても室内に伝わり続けます。 ・熱気の排出方法 小屋裏換気口や換気扇を活用し、夕方〜夜にかけて熱気を強制的に外へ逃がす。 これらは大掛かりなリフォームをしなくても実践可能で、1週間ほどの準備で効果を感じられる対策です。 根本的に改善する方法(断熱リフォーム) 扇風機や寝具の工夫、外付けシェードといった対策は即効性がありますが、根本的に住まいを「夏でも涼しく、冬でも暖かい空間」に変えるには、断熱リフォームが有効です。ここでは、代表的な方法とその効果について解説します。 内窓設置による夏の快適性向上 内窓といえば冬の寒さ対策のイメージが強いかもしれませんが、実は夏にも効果があります。 ・気密性の向上 外から侵入する熱気や湿気を抑える。 ・日射遮断効果 Low-Eガラスを組み合わせると、日射熱の侵入をカットできる。 さらに、外付けのシェードやすだれと組み合わせると、「外で遮る+中で守る」二重のバリアが完成します。これにより、冷房効率が高まり、エアコンの使用時間そのものを減らすことができます。 天井・小屋裏断熱の効果 夏の寝苦しさを大きく左右するのが、屋根から伝わる輻射熱です。日中に屋根が受けた直射日光は、小屋裏(天井裏)にこもり、深夜まで室内に放射され続けます。ここに断熱材をしっかり施工することで、夜になっても家の中が暑い状態を軽減できます。 ・輻射熱の遮断 屋根から伝わる強烈な輻射熱をブロックし、夜間の室温上昇を抑える。 ・非破壊で工事可能 天井断熱は施工が比較的容易で、非破壊(天井裏点検口からの施工)で行えるため、住みながら工事が可能。仮住まい費用や解体費用の負担なし。 小屋裏換気扇と組み合わせれば、さらに冷房効率が向上。結果としてエアコンの使用時間を減らし、省エネと快眠の両立が期待できます。 ▼断熱材について 【必見】断熱材の種類徹底比較&選び方完全ガイド 費用と補助金制度 断熱リフォームは「高そう」と感じられるかもしれませんが、国や自治体の補助制度を活用すれば実質負担を抑えることが可能です。 費用の目安 施工内容 施工面積・数量 価格帯(税別) 備考 内窓設置(Low-E断熱タイプ) 掃き出し窓1枚(幅1.6m×高さ1.8m) 約10~15万円 断熱性能・ガラス仕様で変動 天井断熱(セルロースファイバー施工厚み200mm) 50㎡ 約25~30万円 小屋裏に入り非破壊施工 ※あくまで参考価格です。現場条件・部材グレードなどによって変動します。 補助金の例 【先進的窓リノベ事業】 高性能な窓リフォームを対象とし、最大200万円の補助が受けられる制度。内窓設置やガラス交換が対象となる。 【子育てグリーン住宅支援事業】 子育て世帯や若者夫婦世帯を中心に、断熱リフォームを支援。窓リフォームだけでなく天井や床など住宅全体の省エネ改修が対象。 【地域独自の補助金】 (例:信州健康ゼロエネ住宅助成金など) 自治体ごとに断熱改修や省エネ住宅化を支援する制度がある。国の補助金と併用できる場合もあり、実質負担を大幅に減らせる。 断熱リフォームの大型補助金は、2025年が最後の年といわれています。補助金を活用してお得に断熱リフォームしたい方は、お早めにお問い合わせください。 ▶無料の断熱診断お申し込みはこちら ▼断熱リフォームの補助金について詳しくはこちら 【大型補助金ラストイヤー】2025年断熱リフォームで活用できる補助金を完全解説!最大260万円支給も! 実際の改善事例 実際に断熱リフォームを行ったご家庭では、どのような変化があったのでしょうか。ここでは、弊社が施工した事例をもとに、お客様の声をご紹介します。 【事例:長野県・築10年木造住宅】 天井断熱 内窓設置 施工内容:天井断熱・リビングの内窓追加 お客様の声: 「リフォーム前は、温度ムラがあり部屋の場所によって暑い・冷房で寒いと感じることがありましたが、リフォーム後は部屋全体の温度が統一されたのか、部屋のどこにいても快適に感じます。2階へ上がったときのモワッとした暑さによる不快感が軽減されました。エアコンの使用頻度も前より抑えられたように感じています。」 導入後の変化: エアコンの設定温度24℃→27℃でも快適に。 ▶内窓設置について ▶暑さ対策リフォーム「2階快適プラン」について 実際に、国土交通省の「住宅の断熱性能とエネルギー消費に関する調査」でも、断熱改修後のエアコン使用量が15〜25%削減された例が報告されています。 厳しい夏の暑さの中でエアコンを一切使用しないことは難しいですが、断熱改修することで、1年通して外気の影響を受けづらくなります。特に、日中に家にいることが多い方やペットがいるご家庭では、より効果を実感していただけるでしょう。 快適な夏の睡眠環境を手に入れるために 夏の寝苦しさを解消するには、扇風機の使い方や除湿といった「今夜すぐできる工夫」だけでは限界があります。もちろん一時的には効果がありますが、住宅そのものが熱を抱え込んでいる場合、夜になっても室温が下がりにくい状況は続きます。そこで重要なのが、断熱リフォームや内窓設置といった根本的な住まいの改善です。 短期的な工夫と長期的な改善を組み合わせることで、初めて「快適な睡眠環境」が手に入ります。たとえば、 今夜は扇風機や冷感寝具でしのぐ ↓ 1週間単位で外付けシェードや小屋裏換気を導入する ↓ 将来的には天井断熱や内窓で、家そのものを涼しく保つ このようにステップを踏むことで、無理なく改善が進められます。 テオリアランバーテックでは、断熱無料診断や、国や自治体の補助金を活用した断熱リフォーム相談を承っています。「どこから熱が入っているのか」「どんな工事が有効なのか」を見える化することで、最適な対策をご提案できます。 「寝苦しい夏をなんとかしたい」と思ったら、まずは一度現状を確認してみませんか。 快適な睡眠環境は、正しい知識と具体的な改善策から実現できます。 【無料断熱診断の主な内容】 天井・壁・床の断熱材の有無や厚みの確認 窓の断熱性能(単板/複層/Low-Eガラス等)の確認 断熱リフォームの必要性とコストの目安 補助金を活用した費用の抑え方 断熱の見直しは“冬の寒さ対策”と思われがちですが、実は“夏の冷房効率”にも大きく関係しています。 「まずは話を聞いてみたい」「今の家に手を加えるべきか悩んでいる」という方も、無理な営業は一切ございませんので、安心してご相談ください。 以下のフォームから簡単にお申し込みいただけます。 ▶無料の断熱診断お申し込みはこちら 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 自身も新築の際には、断熱性・防音性などに惚れ込み、断熱材「セルロースファイバー」を選択しました。 ふわふわかわいい「セルロースファイバー」の情報、寒い住宅の原因や対策などなど・・・体もお財布も温める情報を発信していきます!