【長野県】セルロースファイバーで非破壊断熱

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【長野県】セルロースファイバーで非破壊断熱

リフォーム時の「壁」に適した断熱材と工法を解説【補助金情報も!】

執筆者

Yanagisawa Naoki
気密測定技能者・しろあり防除士・WEB解析士
2007年に日本でセルロースファイバー断熱工事のパイオニアであった、有限会社信濃ビケン(長野市)に入社。セルロースファイバーの施工職人として従事。2012年に株式会社テオリアランバーテックに統合され、入社から10年以上で約2000棟以上のセルロースファイバー断熱工事や気密測定技能者の経験を経て、現在は断熱・気密に関する正しい情報を発信するため活動している。

壁が寒い・結露する…そんな悩みが増える築20年超のサイン

冬の朝、寝室の壁に触れた瞬間ひんやりとした感触が伝わり、カーテンの裏側にうっすら結露が光っている築20〜30年クラスの木造住宅ではよく耳にする光景です。住み始めた当初はそれほど気にならなかったのに、年を追うごとに冷え込みが激しくなり、暖房をつけてもなかなか室温が上がらない。原因の多くは、当時の断熱基準が現在よりゆるかったこと、そして壁内の断熱材が経年で沈降したり湿気を含んで性能が低下したりしていることにあります。
さらに光熱費の高騰が追い打ちをかけます。10年前と比べて電気・灯油代は約1.3〜1.5倍、寒波が来るたびに家計を直撃し、「暖房は付けっぱなし、でも足元だけが冷たい」という悪循環に陥りがちです。もし朝起きるのがつらい、浴室との温度差が大きくヒートショックが怖い、そんな実感があるなら、壁断熱の見直しが“改善の一手”になるかも知れません。

壁の断熱材を選ぶ前に押さえる3つの基礎知識

熱はどこから逃げる?外皮平均熱貫流率(UA値)のしくみ

冬、家から奪われる熱の約15~20%が壁からというデータをご存じでしょうか。この数字は開口部(窓など)に次いで大きな数字になります。断熱が不十分だと暖房エネルギーが雪のように溶けていきます。この逃げやすさを数値化した指標がUA値です。数字が小さいほど家全体の断熱性能が高いことを示し、現在の省エネ基準では0.60W/㎡K以下が推奨ゾーン。一方、1990年代後半の住宅は0.87〜0.99W/㎡Kが一般的で、現行基準と比べると1.5倍ほど熱が逃げやすいことになります。壁断熱を強化しUA値を0.5台へ押し下げれば、体感温度は1.5~2℃向上し、暖房の立ち上がり時間も短縮されるため、光熱費に直結して効いてきます。

熱伝導率λと厚みR値を比較する早見表

断熱材選定でまず見るべきなのが熱伝導率λ(ラムダ値)です。λが小さいほど熱を伝えにくく、高性能と言えます。ただし厚みを無視してはいけません。実際の断熱性能は「厚み÷λ=R値」で決まるからです。たとえばλ0.038の高性能グラスウールを120㎜入れた場合のR値は約3.2。対してλ0.024の硬質ウレタンボードなら80㎜で同等以上のR値になります。壁内の空間は限られていますから、性能だけでなく納まりやコストのバランスを見ることが大切です。記事の後半で詳しく紹介しますが、厚みを確保しにくい柱間充填工法では高性能材が、逆に外張り工法では施工効率の良いボード系が有利になる傾向があります。

断熱材の種類 代表的 λ値
(W/m·K)
代表密度
(kg/m³)
R=2.0 に
必要な厚み
R=3.0 に
必要な厚み
コメント/適した工法
高性能グラスウール 16K 0.038 16 約 76 mm 約 114 mm 柱間充填向き。沈降を抑え λ値も低い“最適帯”。
標準グラスウール 10K 0.045 10 約 90 mm 約 135 mm コスパ◎。屋根・天井など厚みを取りやすい部位に。
セルロースファイバー
(デンスパック)
0.040 55–60 約 80 mm 約 120 mm 調湿・防音◎。吹込み専用機材で高密度充填が可能。
硬質ウレタンボード 0.024 30–35 約 48 mm 約 72 mm λ値トップ。外張りや狭小部位に有利。
押出ポリスチレンフォーム 3種b 0.028 約 30 約 56 mm 約 84 mm 床下・外張りで施工しやすい中性能・中価格。
フェノールフォーム 0.020 35–40 約 40 mm 約 60 mm 不燃+最高性能。防火地域の外張りに最適。

指標解説

指標 意味(何を示す?) 対象範囲 単位 数値の読み方
R値 熱抵抗値。材料や層が「熱をどれだけ通しにくいか」を示す。 部材単体・断熱層ごと ㎡・K/W 大きいほど断熱性能が高い
U値 熱貫流率。部材 1 ㎡あたりの総合的な熱の通りやすさ。 窓・壁・屋根など部位ごと W/㎡・K 小さいほど断熱性能が高い
(R値の逆数)
UA値 外皮平均熱貫流率。建物外皮全体で平均した U値。 住宅全体 W/㎡・K 小さいほど省エネ性能が高く
省エネ等級判定に使用

目安として覚えておく数値

部位 推奨 R値(熱抵抗値)
[㎡・K/W]
壁(寒冷地) 3.0 以上
屋根・天井 4.0 以上
床下 2.0 以上

防音・調湿・耐火…性能は“副次メリット”も要確認

壁断熱材は熱だけでなく音・湿気・火に対する性質も大きく異なります。たとえばセルロースファイバーは新聞紙を再利用した自然系素材で、繊維内に含まれる空気層が音を吸収し、調湿効果で壁内結露を抑制します。ロックウールは溶岩を高温で繊維化しており、1,000℃でも形状を保つ耐火性能が強み。夜勤明けで昼寝をしたい方や、隣家との距離が近い住宅地では副次メリットが大きく生活品質を底上げします。カタログスペックだけでなく“暮らし方”に合うかどうかも考慮しましょう。

壁におすすめの断熱材5選【性能・コスト早見表付き】

ここからはいよいよ具体的な断熱材を見ていきます。掲載順は価格の手頃さではなく、築20〜30年住宅のリフォーム現場で採用実績が多い順としました。性能とコストのバランスを比較しながら読み進めてみてください。

グラスウール高性能16K〜24K

引用:写真AC

現在最も普及しているのがグラスウールです。ガラスを細い繊維にした綿状の素材で、16K・24Kという数字は密度を表します。密度が高いほど繊維が絡み合って空気を閉じ込め、熱を伝えにくくなりますが、そのぶん重く施工が難しくなるため、壁内充填では16Kが標準的。
コスト面は安定しており、120㎜厚でも坪1.8万円前後で収まるケースが多いものの、防湿シートのタッカー留めが甘いと隙間風が入り性能が大幅に落ちる点には注意が必要です。リフォームでは古い断熱材の撤去も伴うため、職人の経験値で仕上がりが左右されます。

セルロースファイバー(自然素材)

新聞紙リサイクル原料と聞くと頼りなく感じるかもしれませんが、ホウ酸で防虫・防火処理したセルロースファイバーは難燃性と吸放湿性の高さからリフォーム市場で急速に支持を集めています。
セルロースファイバーを壁を壊して施工する場合は、いわゆるスケルトンリフォームと同じ流れになります。まず室内側の石こうボードと既存断熱材をすべて撤去し、柱・筋かいを露わにした状態で構造体の劣化や配線経路をチェックします。必要に応じて胴差しの補強や電気配線の入れ替えを済ませたのち、柱間全面に透湿性能のある専用ネット(インシュレーションネット)をタッカーで張り込みます。このネットがセルロースファイバーの“受け止め壁”になるため、吹込み時に繊維が室内へ飛散する心配はありません。
次に高圧ブロワーでセルロースファイバーを柱間へ送り込み、ホースを上下左右に振りながら55~60kg/m³程度の密度まで詰めます。既存壁を完全に開放しているため、筋かいの裏やコンセントボックス周辺など細かな凹部にも繊維が行き渡り、空洞を残しにくいのが最大の利点です。充填後は防湿気密シートを室内側全面に連続して貼り、気密テープでジョイントを処理してから新しい石こうボードを復旧。仕上げクロスを張って完成という流れになります。
壁を壊す手間はかかるものの、断熱・気密・調湿・防音をワンセットで底上げできるうえ、構造体を直接点検できる安心感も大きいのがこの工法の魅力です。築年数が進み、壁内結露や配線の老朽化も気になる住宅なら“スケルトン+セルロースファイバー”は検討する価値が高い選択肢と言えるでしょう。
コストは壁だけで坪あたりおおむね2.6〜3.2万円が目安になります。(石膏ボード・クロスの復旧まで含む)

現場発泡ウレタン

引用:写真AC

液状の原料を壁内に吹き付けると瞬時に発泡し、柱や梁に密着して硬化するのが現場発泡ウレタンです。発泡時に自己接着するので隙間なく充填でき、気密シートが不要になるのが最大の利点。間柱裏の凹凸にも追従するため、筋交いが多い耐震補強済みの住宅でも施工しやすいのが特徴です。
一方、発泡ガスが抜けて数%ほど収縮する経年変化がゼロではなく、湿度の高い環境では注意が必要です。リフォームでは室内側石膏ボードを剥がして吹付ける“半スケルトン”工程になるため、クロスや造作家具の復旧費用も見積もりに含める必要があります。坪2.6〜3.0万円が目安です。

硬質ウレタンボード

引用:写真AC

高性能住宅で外張り断熱に多用されるのが硬質ウレタンボードです。λ0.024前後とトップクラスの断熱性能を持ち、たった60㎜の厚みでR値2.5を超えます。既存外壁の上から下地胴縁で留め、新しいサイディングを張る方法なら、室内側に手を付けないため生活への影響が小さく、外観一新のリノベ効果も高いのがメリット。ただし足場仮設と外壁材のコストが上乗せとなるため、坪3.2〜3.8万円とほかの工法より費用は高めです。

ロックウール

引用:写真AC

溶岩や高炉スラグを超高温で繊維化したロックウールは、耐火等級の高さで防火地域のリフォームに選ばれる素材です。密度が高く吸音性も優秀なため、交通量の多い幹線道路沿いの住宅で効果を発揮します。湿気に弱いイメージがありますが、近年は撥水処理品も増え、壁内結露リスクは大幅に軽減されています。価格帯はグラスウールよりやや高いものの、火災保険料の割引が適用できるケースもあり、トータルコストで見ると決して割高ではありません。

壁断熱リフォームの2大工法 ─ スケルトン vs 非破壊

断熱材を決めたら、次は“どうやって入れるか”を考えます。大きく分けると壁を壊すスケルトン工法と、壁を壊さない非破壊工法の2通り。ここではそれぞれの流れと適した住宅条件を見ていきましょう。

壁を壊してスケルトンにする充填・吹付工法

工事手順と必要日数

室内側の石膏ボードを剥がし、既存の断熱材やゴミを撤去して柱・梁が現れた状態(スケルトン)にします。ここで躯体の劣化を点検し、必要があれば構造補強を実施。その後、グラスウールやセルロースファイバーを柱間に充填し、気密シート貼り→石膏ボード復旧→クロス仕上げへ。30坪の家で7〜10日が標準ですが、キッチンや浴室など水回りを同時に刷新する場合はさらに日程が延びるので、工程表をよく確認しましょう。

向いている住宅条件

室内の模様替えや配線更新をまとめて行いたい場合、スケルトン工法は一石二鳥です。また、柱間寸法が不揃いな在来工法住宅では、現場でカット調整できるグラスウールやセルロースファイバーの方が収まりやすく、気密シートで気密施工も同時に行えるため気流止め効果も高まります。逆に住みながら短期間で済ませたい場合は次の非破壊工法を検討しましょう。

壁を壊さずに行う非破壊(外張り・内張り)工法

引用:LIXIL様HP

内側に「断熱材付き石こうボード」を重ね張りする工法(複合パネル施工)

引用:アキレス株式会社様HP(アキレスJDパネル)

既存の壁を壊さず、室内側から断熱材と石こうボードが一体化した複合パネルを上貼りする方法です。作業はいたってシンプル。まず既存クロスに軽くヤスリを掛け、位置決め用の墨出しを行ったら、専用ビスで胴縁(あるいは直張り用接着剤)を使って厚さ25〜40 mmの複合パネルを固定します。パネル裏面には硬質ウレタンフォームや押出ポリスチレンフォームが一体成形されているため、取り付けが済んだ瞬間から壁面の断熱性能が向上。気密シートを別途施工する必要がない製品も多く、6〜8畳の部屋なら1〜2日でクロス仕上げまで完了します。
既存柱や配線をいじらないので粉塵が少なく、家具の移動だけで住みながら工事できるのが最大のメリット。ただし厚み分だけ室内が5 cmほど狭くなること、既存コンセントや窓枠が壁面より奥まるためスイッチボックスの延長や額縁のかさ上げが必要になる点は要チェックです。
費用は1坪あたりおおむね2.0〜2.6万円(パネル・施工・クロス貼り替え込み)が目安。短工期で手軽に断熱等級を底上げしたい場合に適した選択肢と言えるでしょう。

外張り+新サイディング

引用:工務店経営の処方箋.com様(LIXILスーパーウォール工法)

外壁全体を包むように硬質ウレタンボードを張り、通気胴縁と新しいサイディングで仕上げる工法です。断熱層が連続するため柱で分断されず、熱橋を最小化できます。14〜21日と工期は長いものの、外観リニューアルと断熱強化を同時に叶えられるのが大きな価値。築古住宅で外壁シール切れや板金の錆が気になるケースではメンテナンス費用を一度で済ませられるため、長期的に見て合理的です。

工法別メリット・デメリット比較表

工法別 壁断熱リフォームのメリット・デメリット比較
工法区分 代表的な断熱材
(例)
施工特徴 主なメリット 主なデメリット 目安工期 目安坪単価
(万円/坪)
壁を壊す
充填工法
セルロースファイバー 石こうボードを撤去し、柱間に吹込みネットを張って高密度充填 調湿・防音◎
空洞ゼロで高い断熱/気密性能
構造体の点検・補強が同時に可能
解体・復旧の手間と廃材コストが大きい
家具移動・仮住まいが必要になる場合も
7〜10日 2.6〜3.2
壁を壊す
吹付工法
発泡ウレタン 柱間に直接ウレタンを発泡させ、断熱と気密を同時に形成 隙間ゼロで高気密
防湿層不要・複雑な形状に追従
経年で数%収縮リスク
吹付ガス臭・粉じん対策が必要
5〜7日 2.8〜3.4
非破壊
外張り工法
SW工法
(硬質ウレタンパネル+気密テープ)
既存外壁の外側を気密パネルで包み、胴縁+新サイディング仕上げ 生活しながら施工可
熱橋が少なく高性能
外観リニューアル効果◎
足場・外装材コストが大きい
建物外幅が増え境界距離に注意
14〜21日 3.2〜3.8
非破壊
内張り工法
アキレス JD パネル
(ウレタン一体石こうボード)
既存壁の上から複合パネルをビス留めし、ジョイント処理後クロス仕上げ 短工期1〜2日/室
粉じん少なく家具移動だけで施工可
室内が数cm狭まる
コンセントの延長・窓額縁のかさ上げ必須
4〜6日 2.0〜2.6

費用と工期はどのくらい?モデルケースでシミュレーション

30坪木造戸建て・壁のみ断熱リフォーム費用

30 坪・築 25 年木造戸建で
「壁のみ(100㎡)」を断熱改修した場合の “最大想定費用”(税込)
工法区分 代表断熱材 ベース上限 万円
※足場・養生・廃材処分込み
想定追加コスト
(高意匠仕上げ・
アスベスト撤去・
構造補強など)
最大想定合計
万円
壁を壊す
充填工法
セルロースファイバー 120 内装ハイグレード+10
アスベスト撤去+20
構造補強+20
170
壁を壊す
吹付工法
発泡ウレタン 130 内装ハイグレード+10
アスベスト撤去+20
構造補強+25
185
壁を壊さない
外張り工法
SW パネル
(硬質ウレタン)
160 高意匠サイディング+20
バルコニー・開口部納まり+15
部分補強・板金改修+25
220
壁を壊さない
内張り工法
アキレス JD パネル 100 内装ハイグレード+10
アスベスト撤去+20
スイッチ延長・額縁調整+20
150

※上表の追加コストは「想定される最大級の上振れ要因」を加算したイメージです。現場条件や仕上げグレードによっては表記額より低く抑えられる場合もあります。

追加で発生しやすい付帯工事費

意外と忘れがちな出費が、エアコン脱着・照明スイッチの移設費、そしてコンセントボックスの気密処理です。特にスケルトン工法では一度配線をバラすため、分電盤が旧型だと漏電遮断器の交換が必要になるケースもあります。「見積もりに電気・内装・仮設の項目が独立しているか」をチェックし、後からの追加請求を防ぎましょう。

補助金・減税・リフォームローン活用ガイド

先進的窓リノベ等促進事業との併用ポイント

壁断熱単体では補助上限に届きにくいことがありますが、窓を同時に施工すれば一気に交付額が伸びます。たとえば「先進的窓リノベ2025事業」は1戸あたり最大200万円の補助上限が設定されており、内窓設置・外窓交換・ドア交換などとの組み合わせで活用できます。壁+窓で外皮の総合性能を高めると、UA値の改善効果も倍増するため、併願する価値は十二分にあります。

長期優良住宅化リフォーム推進事業など主要制度

耐震・劣化対策・省エネをまとめて底上げする場合は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が狙い目です。性能向上工事の費用に対し、補助対象リフォーム工事費合計の3分の1が補助され、最大で210万円(評価基準により変動)の補助が受けられ、シロアリ対策の防蟻処理や床下からの湿気対策の防湿シート費用も評価対象になります。工事内容を事前に提出し採択を受ける必要があるため、リフォーム会社や工務店と早めに申請準備を進めましょう。

固定資産税減額/ローン金利優遇

省エネ改修を行うと翌年度の固定資産税が1/3減額される特例や、フラット35リノベの金利引き下げが適用できることがあります。壁断熱は構造躯体を触るためリフォームローンでも長期返済が認められやすく、低金利と補助金を組み合わせると、実質負担は想像以上に小さくなるケースも少なくありません。
長野県限定ですが「信州健康ゼロエネ住宅助成金」のリフォームタイプでは、断熱性能をZEH水準まで引き上げることで追加助成が受けられます。

▼補助金について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
【大型補助金ラストイヤー】2025年断熱リフォームで活用できる補助金を完全解説!最大260万円支給も!

壁断熱材に関するよくある質問10選

Q.壁の断熱だけで家全体が本当に暖かくなりますか?

A. 壁から逃げる熱は家全体の約20%にとどまります。壁断熱を強化すると室温の底上げにはつながりますが、単独では効果が限定的で、体感温度の上昇もおよそ1〜1.5℃が目安です。残りの熱は窓・天井・床を経由して失われるため、古い単板ガラスの窓がある家では内窓を、天井や床の断熱が弱い場合は同時に補強することで初めて暖房ムラのない快適な住環境が実現します。

Q.断熱材はどれを選べばいいのでしょうか?

A.充填工法なら価格と施工性のグラスウール、高い調湿・防音を狙うならセルロースファイバー、薄くても高性能を求めるなら硬質ウレタンボードが定番です。家の構造、予算、結露・音など解決したい課題を整理して選ぶと失敗しません。

Q.費用はどのくらいで、何年で元が取れるのでしょう?

A.壁だけを断熱しても、家全体で逃げる熱のうち約2割しか防げません。工事費は30坪で60〜90万円ほどですが、暖房代が年間で4〜6万円しか下がらないケースが多く、補助金を使っても元を取るまでに20年近くかかる計算になります。いちばん暖気が逃げやすいのは窓なので、壁と同時に内窓や高断熱サッシを取り付けると削減額が一気に増え、15年ほどで回収できるケースが現実的に見えてきます。費用対効果を考えるなら、壁だけでなく窓もセットで検討するのがおすすめです。

Q.工期は?住みながらでも工事できますか?

A.住みながらの工事は「原則として可能」ですが、現場での段取り次第で快適さに大きな差が出ます。外張りや内張りパネルの場合、職人は室内に長く居座らず、1日あたり1〜2部屋ずつ作業して養生を剥がしていく手順を取るため、キッチンや寝室を終日占有されるのはごく短時間です。音と振動はビス留めや電動工具を使うタイミングだけに集中し、粉じんはパネル裏側を切削するとき以外ほとんど出ません。こうした事情から、多くのご家庭が普段の生活を続けながら工事を行っているのは事実です。
ただし在宅ワークで静かな環境が必須の時間帯がある、幼児やペットが工具音を怖がる、といった場合には日程を細かく合わせてもらう必要があります。またスケルトン工法では壁を解体する初日と石こうボードを張り戻す日だけは騒音と粉じんが大きく、ニオイも出るため、2〜3日だけ外出や別室避難を計画しておくと安心です。まとめると、非破壊系の工法なら原則住みながら進められますが、「騒音が出る時間帯の共有」「家具移動と養生の範囲」「在宅ワークや就寝時間の配慮」を事前に打ち合わせることで、ストレスをほとんど感じずに完了させることができます。

Q.補助金や減税制度は使えますか?

A.先進的窓リノベ事業や長期優良住宅化リフォーム推進事業など、省エネ改修向けの国・自治体補助金が利用可能です。条件次第で工事費の30〜50%をカバーでき、固定資産税減額やローン金利優遇との併用も可能です。

Q.既存の断熱材が入っていたらどうなりますか?

A.スケルトン工法の場合は、壁を開けて古い断熱材を取り除き、新しい材料に入れ替えます。一方、外壁を壊さずに行う外張り断熱では、柱間に残っている既存の断熱材は基本的にそのまま生かし、その外側を硬質ウレタンパネルなどでぐるりと包み込む形になります。こうすると壁体内に手を入れずに済むため解体コストが抑えられ、熱橋も連続した外張り層でカットできます。ただし既存材に湿りやカビが見つかった場合は、事前に点検口を設けて部分的に吸い出すか、内側から小開口を取って乾燥・補修しておく必要があります。そのうえで外張り層を気密テープと防水シートで連続させれば、新旧の断熱材が二重のバリアとなり、壁厚を増やさずに断熱性能を底上げできます。

Q.結露やカビは断熱で改善しますか?

A.断熱によって壁表面温度が上がれば結露は大幅に減ります。セルロースファイバーの調湿効果や透湿シート併用で内部湿度を安定させ、カビ・ダニの発生を抑制できます。

Q.断熱材の寿命はどれくらい? メンテナンスは必要?

A.袋入りグラスウールやセルロースは50年以上、硬質ウレタンボードは半永久的とされます。水漏れやシロアリなど外的要因がなければ基本メンテナンスフリーですが、屋根・外壁の防水点検は10年サイクルで行うと安心です。

Q.防音効果も期待できますか?

A.高密度セルロースやロックウールは音エネルギーを繊維内部で熱に変え、生活騒音や雨音を3〜8dB低減した実測例があります。静かな室内環境を望むなら素材選びがポイントです。

Q.DIYで施工するのはアリ?

A.パネル貼りを除き、壁を解体して高密度で充填する工程には専門機材と気密・防湿の知識が不可欠です。気流止めを失敗すれば結露悪化のリスクもあるため、基本的に専門業者への依頼をおすすめします。

施工会社選びと無料相談をスムーズにするチェックリスト

見積もり前にそろえておきたい 4 つの情報を深掘り解説

断熱リフォームの相談をするとき、「とりあえず家を見に来てください」と丸投げする方が意外と多いものです。しかし、あらかじめ延床面積・間取り図・既存断熱材の有無・目指す断熱等級の 4項目を整理しておくだけで、初回のやり取りから驚くほど具体的な提案が受け取れるようになります。ここでは、それぞれを“どのレベルまで用意すれば十分か”“施工会社のどんな計算や判断に役立つのか”を掘り下げてご紹介します。


1. 延床面積

「30 坪程度です」だけでは、おおざっぱな概算しか出せません。できれば坪数に加えて各階の床面積を分けて伝えましょう。たとえば 1 階 18 坪・2 階 12 坪という情報があると、施工会社は1階と2階の壁高さや外周長を想定しながら材料拾いを始められます。さらに正確を期すなら、建築確認申請書や登記簿謄本に記載された正味の延床面積(㎡) をそのままメールするのがベスト。これがあるだけで、セルロース吹き込みなら何本、硬質ウレタンボードなら何枚、といった資材数量をほぼブレなく算出できます。


2. 間取り図

新築時の平面図やリフォーム時の竣工図があれば、紙でもPDFでも構いません。間取り図は「壁の長さや交差の数」を読み取るためのものです。梁勝ち・柱勝ち、コーナーの角度まで分かれば、施工手間(人工)の計算が格段に精密になります。もし図面が手元にない場合は、方眼紙に手描きでも OK。要は「ドアや窓の位置が大まかに分かる」ことが重要です。最近はスマートフォンのスキャンアプリで図面を撮影しPDFに変換する施主様が増えていますが、この方法ならコピー機を探す手間もなく、そのままメール添付できます。


3. 既存断熱材の有無

ここでポイントになるのは“有無”だけでなく種類と状態です。90 年代の住宅なら袋入りグラスウール、2000 年代以降は高性能グラスウールやロックウール、築浅物件だと吹付ウレタンや硬質ボードが使われていることもあります。可能ならコンセントボックスや天井点検口を外してスマホで壁内を撮影し、

  • 白い綿のようなもの=グラスウール

  • 茶色い紙袋付き=クラフト紙付き断熱材

  • 黄色いスポンジ状=ウレタン吹付
    などのおおまかな判別をしてみてください。断熱材が残っているか空洞かで、撤去費用も新しい断熱材の厚み計算も大きく変わります。写真が難しい場合は「以前の修繕で壁を開けたときに綿が入っていた」など、記憶ベースの証言でもヒントになります。


  1. 4. 目指す断熱等級(リフォーム現場で現実的に到達できるレベル)

    断熱改修のゴールを決めるとき、カタログ値だけを見て「最高等級まで一気に上げたい」と考えがちですが、既存住宅のリフォームで実質的に狙えるのは等級 4〜6 が上限です。2025 年に制度化された「断熱等級 7(HEAT20 G3 相当)」は新築向けの数値で、壁・屋根・床・開口部をすべて新規に造り替える前提の熱損失計算が必要なため、建て替えも視野に入れて検討しましょう。

    等級 リフォームでの現実度 目安となる改修内容 補助金との相性
    等級 4 ★★★★☆ 壁と窓の断熱を現在の省エネ基準程度へ引き上げる 先進的窓リノベなど申請しやすい
    等級 5 ★★★☆☆ 壁厚 120〜140 mm、Low-E 複層ガラス、屋根&床も追加断熱 長期優良住宅化リフォーム〈性能向上計画〉枠
    等級 6 ★★☆☆☆ ZEH 相当。断熱+高度な気密施工+高効率設備が必須 補助金上限は高いが採択ハードルも高い
    等級 7 ★☆☆☆☆ 新築専用レベル。改修単独では事実上不可

    現実的な上限を理解してから目標を決めると、無理のない仕様と予算でプランが固まります。また、次のステップで窓を替え、さらに屋根断熱を厚増しするなど、段階的な性能向上計画 を立てる方が、投資効率が高く後悔も少ないのが実情です。


ワンポイント “窓だけ” 相談も歓迎

断熱性能を上げるうえで窓の影響はきわめて大きく、「まずは窓リフォームから様子を見たい」という声も多いもの。当社では 内窓工事の無料調査 を常時行っており、壁を触らないケースでもご依頼いただけます。ご訪問時には

  • 窓サイズと方位ごとの日射量

  • サッシ種類ごとの熱貫流率(U 値)の比較

  • 将来的に壁断熱を追加した際の総合 UA 値シミュレーション

  • 併用できる補助金枠の試算
    といった情報をまとめてお渡しし、段階的な性能向上計画をご提案します。

「まずは窓だけ診てもらい、来年の冬を体感してから壁に着手したい」という段階でも遠慮なくお声がけください。

寒い朝も手足が凍えず、夏はじっとり汗ばまない室温。
好きな時間に趣味を楽しんでも外の騒音が気にならず、家計もCO₂ も軽くなる。
そんな暮らしは大がかりな建て替えをしなくても実現できます。ポイントは、壁や窓の性能をあなたのライフスタイルに合わせて“ちょうどいいバランス”で整えること。まずは「どの部屋で、どんな時間を過ごしたいか」を思い描いてみてください。私たちはその理想像から逆算して、最適な断熱プランと補助金の活用法をご提案します。未来の自分と地球へ贈る快適リフォーム、どうぞお気軽にご相談ください。

長野県の断熱リフォーム・断熱無料調査はテオリアランバーテック

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