失敗しない高気密高断熱の家づくり|メリット・デメリット・リフォーム術まで完全解説 公開日:2025年4月26日/更新日:2025年4月26日 「冬の朝、暖房をつけても足元が冷たい」 「夏は2階が蒸し風呂のように暑い」 ——そんな住宅のお悩みを感じたことはありませんか? その原因は、住宅の断熱性や気密性の不足にあるかもしれません。高気密高断熱住宅は、外気の影響を抑えて冷暖房効率を高める住まいの仕組み。快適で省エネな暮らしを実現します。 この記事では、「高気密」「高断熱」それぞれの意味や役割、そして両者の違いをわかりやすく解説しながら、快適な住まいづくりの第一歩となる情報をお届けします。 「これから家を建てる人」にも「リフォームを検討している人」にも役立つ実践ガイドです。 目次 Toggle 高気密高断熱住宅とは?高気密とは?高断熱とは?高気密と高断熱の違いと関係性高気密高断熱住宅の5つのメリット1.快適な室内環境の実現2.エネルギー効率の向上3.ヒートショックのリスクが低減4.騒音の軽減5.家の耐久性向上高気密高断熱住宅の注意点とデメリット初期コストの高さ内部結露に注意室内が乾燥しやすいよくある失敗例とその対策失敗例1:断熱材の施工不良で熱損失が発生した失敗例2:換気計画を甘く見て室内環境が悪化した高気密高断熱住宅を支える5つの技術要素気密シートと断熱材の役割窓やドアの性能換気システムの種類断熱・気密性能測定の基準床・天井・壁の断熱工法高気密高断熱住宅の性能を数値で理解する省エネ住宅の基準リフォームで高気密高断熱住宅を実現できる?高気密リフォーム高断熱リフォーム断熱リフォームの無料調査実施中【無料診断の流れ】 高気密高断熱住宅とは? 高気密高断熱住宅とは、室内の快適性を維持しながら、冷暖房効率を大幅に高められる住宅性能を持った住まいのことを指します。冬の寒さや夏の暑さを室内に伝えにくくし、なおかつ外の空気がすき間から出入りしないように設計・施工された住宅です。 ここでは、「高気密」「高断熱」それぞれの意味と、両者の違いについて解説します。 高気密とは? 「高気密」とは、建物の隙間を極限まで減らし、外気の侵入や室内空気の流出を防ぐことを指します。 この性能は「C値(相当隙間面積)」という指標で表され、住宅全体に存在するすき間の合計面積を床面積1㎡あたりで示します。 たとえば、C値=2.0㎠/㎡であれば、床面積100㎡の住宅におけるすき間の合計は200㎠(はがき1枚強の面積)ということになります。 現在、高性能住宅を目指す場合は C値1.0以下が推奨されており、特に寒冷地では0.5以下を目指すこともあります。 このような高い気密性能により、 室温が安定しやすい 冷暖房効率が向上する 外気中の花粉やほこりの侵入が減る といったメリットが得られます。 ただし、高気密住宅には計画換気が必須であり、換気設備との組み合わせが前提であることも理解しておく必要があります。 高断熱とは? 一方で「高断熱」とは、建物の内外で熱の移動を最小限に抑える性能のことを指します。 この断熱性能を示す代表的な指標が「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。UA値は、住宅全体からどれだけ熱が逃げやすいかを示すもので、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。 たとえば、国の省エネ基準では地域ごとにUA値の基準値が設定されており、長野県など寒冷地では0.75W/㎡・K以下が推奨基準とされています。(地域区分4 断熱等級4) 断熱性能の高い住宅は、 冬でも室温が下がりにくい 夏の暑さが室内に伝わりにくい エアコンの使用時間が減る といった形で、光熱費の削減と快適性の両立が可能になります。 断熱材には、セルロースファイバー・高性能グラスウール・ウレタンフォームなどがあり、それぞれ熱伝導率や施工性が異なります。素材選定も、性能に大きく関わるポイントです。 高気密と高断熱の違いと関係性 この2つの性能は密接に関係していますが、役割は明確に異なります。 性能 主な目的 指標 具体的効果 高気密 空気の漏れを防ぐ C値 外気の侵入を防ぎ、室温安定 高断熱 熱の移動を防ぐ UA値 冷暖房効率の向上、結露防止 気密が不十分な状態で断熱性を高めても、室内の空気が逃げてしまい効果が薄れます。 逆に、気密性だけを高めて断熱が弱ければ、外気温の影響を受けやすく、寒暖差による結露や不快な温熱環境になる可能性があります。 つまり、「高気密」と「高断熱」はセットで初めて本来の効果を発揮するもの。 この両立があってこそ、快適でエネルギー効率の良い住宅環境が実現するのです。 断熱リフォームを検討するうえで、この2つの違いと関係性を理解しておくことは非常に重要です。特に既存住宅の改修では、どちらか片方に偏った対策では十分な効果が得られないケースも少なくありません。 高気密高断熱住宅の5つのメリット 高気密高断熱住宅は、「冬は寒い」「夏は暑い」「光熱費がかさむ」といった住まいの悩みを根本から改善してくれる住宅性能です。ここでは、実際にどのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。 1.快適な室内環境の実現 高気密高断熱住宅がもたらすのは、一年を通じて快適な室温を保てる室内環境です。 断熱性能が高い住宅は、外の暑さや寒さの影響を受けにくく、室温の変化がゆるやかになります。さらに、気密性が高いことで冷暖房の効きが良くなり、設定温度に到達するまでの時間も短縮されます。 また、室温のムラが少ないため、部屋ごとの温度差も感じにくく、家全体が均一に快適な空間になります。 2.エネルギー効率の向上 高気密高断熱住宅では、冷暖房エネルギーの消費量が大幅に削減されます。 たとえば、国の定めるZEH基準(年間一次エネルギー消費量の収支が概ねゼロになる住宅)を満たす住宅では、一般的な住宅と比べて冷暖房エネルギー消費量が約50%削減されることが実証されています。 以下のようなメリットが見込まれます。 年間の光熱費が数万円単位で削減 エアコンの使用頻度が減少し、家電の寿命が延びる 再エネ(太陽光発電など)との相性が良く、エネルギー自給にも貢献 また、初期投資はかかるものの、10~15年程度で投資分を回収できるという試算も多く、長期的なランニングコストの観点で非常に合理的な選択です。 3.ヒートショックのリスクが低減 冬場の浴室や脱衣所の急激な温度差によって、血圧が大きく変動し、倒れてしまう「ヒートショック」。これは高齢者だけでなく、若年層でも起こりうる健康リスクです。 高気密高断熱住宅では、室内の温度差が少ないため、 暖房との併用により、脱衣所でも15℃以上の室温を維持しやすくなる 浴室との温度差が少なくなる トイレや廊下も寒くなりにくい といった環境が整い、ヒートショックのリスクが大幅に低減されます。 健康面への影響は見過ごせないポイントであり、特にご高齢の家族がいるご家庭では安心材料となります。 ▼おすすめの記事 冬場に注意!ヒートショックの対策と注意が必要な場所 4.騒音の軽減 高気密高断熱住宅の意外なメリットとして、「騒音が気にならなくなる」という点があります。 外部の音(車の通行音、近隣の生活音など)は、すき間や薄い窓から入り込んできます。しかし、高気密性によってすき間がなくなり、さらに断熱材の吸音効果や高性能サッシの防音性が加わることで、室内は非常に静かな空間に。 以下のような場面で効果を実感することが多いです。 交通量の多い道路沿いの住宅 学校・工場・線路付近 静音環境が必要な在宅ワークや子育て家庭 ストレスの少ない住環境は、心身の健康維持にもつながります。 5.家の耐久性向上 最後に、建物そのものの寿命を延ばすという長期的メリットにも触れておきましょう。 断熱・気密が不十分な住宅では、壁の内側や窓まわりに結露が発生しやすくなります。これがカビの発生や木材の腐食につながり、住宅の劣化を早めてしまいます。 一方で、高気密高断熱住宅は、 構造内部の温度と湿度が安定 内部結露が抑制される(次の章で注意点あり) シロアリや腐朽菌のリスクが減る といった特徴を持ち、結果としてメンテナンス頻度が少なく、長寿命な家づくりが可能になります。 高気密高断熱は、快適さ・経済性・安全性・健康・長寿命といった、住まいの質を総合的に高める選択肢です。 高気密高断熱住宅の注意点とデメリット 高気密高断熱住宅には多くのメリットがありますが、どんな住宅にも「デメリット」は存在します。ここでは、実際に施工や住み始めた後に感じやすい代表的な課題について、事例や対策とあわせて解説します。 初期コストの高さ 高気密高断熱仕様にするためには、標準的な住宅(断熱等級4)と比べて確実にコストがかかります。 以下のような項目が、費用増の主な原因となります。 高性能な断熱材の採用(セルロースファイバーやウレタンフォームなど) 高気密施工に必要な部材(気密シート、気密テープなど) 高性能サッシやトリプルガラスの窓 計画換気システムの導入(第1種換気など) たとえば、延床面積30坪の住宅で、地域区分4(長野県長野市など)において断熱等級6に該当するUA値0.34以下を目指す場合、標準仕様(断熱等級4)に比べて200万円程度の追加コストがかかることも珍しくありません。 しかしこの初期投資は、以下のような方法で負担軽減が可能です。 国や自治体の補助金制度の活用(例:子育てグリーン住宅支援事業、戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業) 長期優良住宅・ZEH認定での税制優遇 住宅ローン控除の対象拡大 短期的な負担はあるものの、ランニングコストの削減や資産価値の維持を考慮すれば、将来的には十分に見合う投資といえるでしょう。 内部結露に注意 前の章のメリット 『5.家の耐久性向上』で、「内部結露が抑制される」と紹介しましたが、注意点を挙げていきます。 なぜ内部結露に注意が必要かというと、高気密高断熱住宅は室内外の温度差が大きく、かつ隙間が少ない構造であるため、万が一、壁体内に湿気が入り込んだ場合、逃げ場がなくなりやすいためです。これが長期間続くと、以下のような問題が起こります。 断熱材の性能劣化(特にグラスウールなど吸湿性の高い材料) 木材の腐朽、カビの発生 シロアリの被害増加 こうしたリスクは、適切な設計・施工、換気計画を行えば回避可能です。 内部結露を防ぐためのポイント 防湿層の正しい位置と連続性の確保(施工性) 外壁側に通気層を設ける(適切な設計) 確実な気密施工と気流止めの徹底(施工性) 第1種換気システムでの湿度管理(換気計画) 施工会社の断熱・気密施工の技術力が問われる部分でもあるため、実績のある専門業者の選定が鍵となります。 室内が乾燥しやすい 「高気密高断熱住宅に住み始めたら、冬場にのどが乾燥するようになった」という声は少なくありません。 これは、気密性が高いために室内の水蒸気が外へ逃げにくく、逆に計画換気によって過剰に湿気が排出されることが主な原因です。特に暖房を使う冬場は、湿度が40%を下回ることもあり、乾燥による肌荒れや風邪のリスクが高まります。 室内乾燥への対応策 加湿器の活用(気化式・スチーム式など用途に応じて選定) 観葉植物や室内干しで自然な加湿 熱交換換気システム(第1種換気)による湿度の回収 ※ただし加湿しすぎにも注意(カビのリスク)。 単純なデメリットと捉えるのではなく、住まい方を工夫することで快適に過ごせる要素と考えるのがポイントです。 よくある失敗例とその対策 高気密高断熱住宅には多くのメリットがありますが、設計や施工の段階で油断すると、本来の性能を十分に発揮できないこともあります。ここでは、実際によくある失敗例とその回避方法をご紹介します。 失敗例1:断熱材の施工不良で熱損失が発生した 状況:断熱材が落下し熱欠損が発生 対策:信頼できる業者に依頼する 状況 床下や天井の断熱材がきちんと充填されておらず、施工後に温度ムラが発生。 赤外線カメラ調査で、断熱欠損(スカスカ部分)が発覚。 対策 断熱材施工は「見えない部分こそ丁寧に」が鉄則。 信頼できる施工会社を選び、できれば断熱施工後にサーモグラフィ調査を依頼する。 失敗例2:換気計画を甘く見て室内環境が悪化した 状況:換気システムを停止 対策:換気システムは適切な風量に設定し常時ON 状況 高気密化に成功したが、冬場に換気システムを止めたら窓や壁に結露が発生した。 換気不足で室内CO₂濃度も高止まり、頭痛や倦怠感を訴える住人も。 対策 適切な風量設計に従って常時運転が基本。メンテナンスのため、フィルターは2枚ずつ持っていると良い。 特に冬季・夏季の湿度管理にも注意し、住みながら微調整を行う意識を持つ。 高気密高断熱住宅は、性能が高いからこそ正しい設計と使い方が求められる住まいでもあります。これらのデメリットは「気づかずに住んでしまうとストレスになる」一方で、「あらかじめ理解し、対策をとれば十分に克服できる」ものです。 導入を検討する際は、費用だけでなく、施工の質や住まい方に関するサポート体制まで含めて検討することが大切です。次の章では、これらの性能をどのような技術で実現しているのかを詳しくご紹介します。 高気密高断熱住宅を支える5つの技術要素 高気密高断熱住宅は、「快適性」「省エネ性」「健康性」など多くのメリットをもたらす反面、それを実現するためには高い施工精度と適切な部材選定が不可欠です。ここでは、その住宅性能を支える主な技術要素を5つに分けて解説します。 気密シートと断熱材の役割 高気密高断熱住宅における壁の中には、見えないけれど重要な2つの要素が存在します。それが「気密シート」と「断熱材」です。 気密シートの役割 室内と屋外の空気を遮断し、すき間風の侵入や内部結露のリスクを軽減。 特に防湿タイプのシートは、室内側の湿気が壁内に入り込むのを防ぐ役割も担います。 施工時には、継ぎ目を丁寧にテープ処理することが求められ、1ヶ所でも隙間があれば全体の性能に影響を及ぼします。 断熱材の役割 熱の移動(伝導・対流・放射)を抑え、外気温の影響を受けにくくする。 使用する断熱材によって、熱伝導率や調湿性能、防音性も異なります。 断熱材の種類・施工方法にそれぞれ特徴があります。高断熱の断熱材でも施工が不十分だと本来の性能を発揮できない点にも注意が必要です。 ▼おすすめの記事 【必見】断熱材の種類徹底比較&選び方完全ガイド 窓やドアの性能 住宅の中でも熱の出入りが最も多い開口部。高断熱住宅を語るうえで、窓やドアの性能は避けて通れません。 高性能サッシの選定ポイント 樹脂サッシや複合サッシは、アルミよりも熱を通しにくく、断熱性に優れます。 ガラスはLow-E複層ガラス(2重〜3重)を選ぶことで、断熱性と遮熱性を同時に高められます。 ガラス構成 特徴 主な使用例 単板ガラス 安価だが断熱性が低い 賃貸・非寒冷地 複層ガラス 断熱・遮音効果あり 標準的な住宅 トリプルガラス 高断熱・結露しにくい 寒冷地・高性能住宅 ドアにおいても、断熱ドア(発泡断熱材内蔵タイプ)や気密パッキン仕様を選ぶことで、開口部全体の性能が安定します。 換気システムの種類 高気密住宅では自然換気が期待できないため、計画的な換気システムの導入が必須です。 換気の3方式と特徴 換気方式 仕組み 特徴 適性 第1種換気 給気・排気とも機械 熱交換換気が可能で、省エネかつ快適 高気密住宅向け 第2種換気 給気のみ機械、排気は自然 清浄度重視(クリーンルームなど) 一般住宅には不向き 第3種換気 給気は自然、排気は機械 低コストだが冬に室温低下の懸念 通常の住宅に多い 高気密高断熱住宅では、第1種換気(全熱交換型)が最適とされます。これにより、外気温との熱ロスを抑えながら、室内のCO₂や湿気を効率的に排出することができます。 断熱・気密性能測定の基準 性能を“見える化”するためには、数値で評価できる基準が必要です。 主な評価指標 UA値(外皮平均熱貫流率) → 建物全体の断熱性能を表す。数値が小さいほど高性能。 C値(相当隙間面積) → 住宅の気密性を表す。1.0㎠/㎡以下が高性能の目安。 次の章で、詳しい説明と国が定める省エネ基準についてお話しします。 ▼おすすめの記事 UA値って何?現在の断熱性能基準について詳しく解説! 床・天井・壁の断熱工法 住宅全体の断熱性能を高めるには、部位ごとに最適な施工方法を選ぶことが重要です。 主な工法と特徴 部位 工法 特徴 床 床下断熱 床下は室外空間となる。リフォームに適している。 基礎断熱 床下も室内空間となる。高気密高断熱住宅に適している。 天井 吹き込み断熱 隙間なく施工できる。複雑な形状にも対応できるためリフォームに適している。 敷き込み断熱 コストが安い。配線や障害物があると隙間が出来やすいため注意が必要。 壁 充填断熱 壁体内に断熱材を充填。費用が比較的安価だが断熱欠損に注意が必要。 外張断熱 構造体の外側に断熱材を張る。気密性が高く断熱欠損が少ないがコストが高め。 気密・断熱は性能だけではありません。どのように設計・施工されるかが、高気密高断熱住宅の質を決めます。では、実際にこれらの技術をどう評価すべきか、そして数値と体感のギャップを埋めるポイントを紹介していきましょう。 高気密高断熱住宅の性能を数値で理解する 住宅の「快適さ」や「光熱費の安さ」は、感覚的なものだけでは語れません。具体的な数値で性能を評価する基準があることを知ることで、設計やリフォームにおける判断が格段にしやすくなります。ここでは、高気密高断熱住宅を語る上で欠かせない国の省エネ基準や先進的な住宅仕様「ZEH」「HEAT20」について詳しく解説します。 省エネ住宅の基準 省エネ基準 現在の日本では、「建築物省エネ法」に基づき、住宅性能を評価するための基準が定められています。これにより、地域ごとに断熱性能(UA値)の目標値が示されており、最低限クリアすべきラインが明確になっています。 2地域 3地域 4地域 5地域 軽井沢町など 白馬村など 長野市など 飯田市など 断熱等級7 HEAT20 G3 0.20 0.20 0.23 0.26 断熱等級6 HEAT20 G2 0.28 0.28 0.34 0.46 断熱等級5 ZEH 0.40 0.50 0.60 0.60 断熱等級4 2025年義務化 0.46 0.56 0.75 0.87 断熱等級3 0.54 1.04 1.25 1.54 断熱等級2 0.72 1.21 1.47 1.67 海外の基準参考値 アメリカ0.43 イギリス0.42 ドイツ0.40 フランス0.36 2025年からの義務化と今後の流れ 2025年からは、新築住宅への省エネ基準の適合が義務化されました。これにより、すべての新築住宅に対して断熱等級4以上の性能が求められています。さらに、将来的にはZEHレベルの断熱・気密が“標準”とされる時代が到来すると予測されています。 この流れを先取りする形で注目されているのが、「ZEH」や「HEAT20」といった、より高性能な住宅基準です。 ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) 断熱+省エネ+創エネを組み合わせることで、年間のエネルギー消費量を実質ゼロにする住宅。 創エネ(太陽光発電や燃料電池など)との併用が前提となる。 HEAT20(ヒート20) 民間団体が提唱する、先進的な断熱水準の指標。 G1~G3の3段階に分かれ、G2以上で“冬でも無暖房に近い生活”が目指せる水準。 高気密高断熱住宅を「性能」で選ぶ時代は、すでに始まっています。 UA値やC値といった数値を理解することで、単に“なんとなく暖かそうな家”ではなく、“実際に快適で省エネな家”を選ぶ判断材料になるのです。 リフォームで高気密高断熱住宅を実現できる? 「新築でしか高気密高断熱住宅は実現できないのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。 しかし、実際には既存住宅でも正しい手順と技術を用いれば、性能の大幅な向上は可能です。ここでは、リフォームによって実現する高気密・高断熱化の具体的なアプローチについて解説します。 築20年以上の住宅で、窓が単板ガラス・アルミサッシの場合は特に効果が実感しやすい傾向にあります。 高気密リフォーム 気密施工の難しさと工夫 既存住宅において気密性を高める作業は、新築と比べて難易度が高いといわれています。その理由は、以下のような構造的・施工的な制約があるためです。 古い構造材や金物の干渉により、気密層を連続させにくい 壁内の見えないすき間(電気配線まわりや配管貫通部など)が多い 床下・小屋裏への施工アクセスが制限されるケースがある これらの課題に対応するためには、以下のような部位ごとの工夫と現場対応力が不可欠です。 床下からの冷気流入には、気密パッキンと気流止め材を併用 壁内の気密確保には、貫通部すべてに気密ブーツや気密テープを使用 天井面には気密シート+ブローイング(吹き込み)断熱材をセットで導入 玄関・窓周りは高性能サッシとともに気密処理を徹底 高気密化リフォームにおいて重要なのは、「完璧な気密性」よりも「施工可能な範囲で最大限の気密性を確保し、冷暖房効率を向上させる」という現実的な判断です。 また、気密測定(C値を測定)できる業者を選ぶことで、施工前後の効果を数値で確認できるため、安心感と納得感にもつながります。 ▼おすすめの記事 快適&省エネのカギは“気密性”にあり!気密測定で理想の住まいを実現 高断熱リフォーム 窓の断熱リフォーム 高断熱化を目指すうえで、まず検討すべきは開口部=窓です。住宅の中で最も熱が出入りしやすい場所でありながら、比較的簡単に性能向上が図れるため、費用対効果が非常に高い断熱対策といえます。 代表的な方法は以下の2つです。 内窓(二重窓)の設置 既存の窓の内側にもう1枚、樹脂サッシの窓を追加。断熱・防音・結露防止の効果が同時に得られます。施工時間も短く、1窓あたり約1〜2時間で完了します。 高性能窓への交換(断熱サッシ+複層・トリプルガラス) 既存の窓枠ごと撤去して入れ替える工事で、費用は内窓より高めですが、外気温の影響を大幅に減らせる効果があります。外観デザインを重視する方や、大開口窓にはこちらが適しています。 以下は、実際の長野県内での内窓(二重窓)設置事例です。 施工前 施工後 ●お客様の声● (築10年の木造住宅/長野県千曲市) 『建てた当初は窓の性能まで意識していなかったため、冬はとにかく窓の近くに行くと冷気でとても寒かったですね。暖房で室内を暖めても窓の近くはいつも寒かったです。付けてみての感想は「・・・全然違う!!」。今まであれだけ寒かった窓の近くに行っても寒さを感じなくなりました。また、外の音も静かになりました。(雨音が聞こえなくなりました)唯一のデメリットとしては空気の入れ替えなどで窓を開けたいときに、2回(内窓と既存窓)窓を開ける必要がありますが、デメリットを差し引いても寒さに悩んでいる方は付けた方がいいと思います!』 このように、開口部の断熱対策はコストパフォーマンスと体感効果の両面で優れたリフォーム手法です。 自治体によっては内窓設置に対する補助金制度もあり、自己負担を抑えて高断熱化を実現できるチャンスもあります。 ▼おすすめの記事 長野県で内窓設置を考えるなら知っておきたい!最新補助金制度と申請手順を解説 床の断熱リフォーム 冬の寒さを感じやすいのが、足元の冷えです。特に床下からの冷気が室内に入り込むと、いくら暖房をつけても「足元がスースーする」状態が解消されません。 床断熱リフォームでは、次のような工法が一般的です。 床下からの断熱材施工(床下潜入型) → 床を剥がさず、床下に潜って断熱材を施工。費用が抑えられ、施工期間も短い。 床上からの断熱リフォーム(床材張り替え型) → 古くなった床材の更新と合わせて断熱材を入れ直す方法。リフォームの自由度が高い。 以下は、テオリアランバーテックでのセルロースファイバー断熱材の吹込み施工の事例です。 施工前 施工後 ●お客様の声● (築28年のツーバイフォー住宅/長野県安曇野市) 『ベタ基礎にはなっていますが、寒冷地にもかかわらず、床下に断熱材は入っていませんでした。薪ストーブを設置してあり、部屋全体は暖かくなるのですが、足元のスースーする寒さは続いていました。床下の断熱を考えていたところ、テオリアランバーテックさんで、画期的な工法があると知りました。断熱工事をやっていただいた最初の冬を過ごしましたが、薪の使用量が少なくなり、足元の寒さも改善しました。』 天井の断熱リフォーム とくに夏場は屋根からの輻射熱で室温が上がりやすいため、天井断熱の見直しは非常に効果的です。 天井断熱リフォームでは、以下の工法が一般的です。 天井裏への断熱材敷き込み → 天井裏(小屋裏)にグラスウールなどマット状・ボード状の断熱材を敷き詰める方法。施工が簡単かつ短期間で完了します。 ブローイング(吹込み断熱) → 吹込み専用機械でセルロースファイバーなどの綿状の断熱材を天井裏へ充填する工法。複雑な形状にも対応でき、隙間なく施工できるためリフォーム向き。 以下は、テオリアランバーテックでのセルロースファイバー断熱材の吹込み施工の事例です。 施工前 施工後 ●お客様の声● (築30年の木造住宅/長野県長野市) 『夏場の2階の寝室が蒸し風呂のようだったのが嘘みたいに快適になりました。』 壁の断熱リフォーム 壁からの熱損失を抑えるには、建物全体の断熱性能を底上げする「外皮断熱」が鍵を握ります。壁断熱リフォームには以下の方法があります。 壁内充填断熱(室内側から壁を開口して断熱材を注入) → コストを抑えつつ、既存の外観を保ちたい場合に有効。 外張断熱(外壁の外側に断熱材を施工し、外装を新設) → 高断熱化と同時に外観リフォームも検討できる。費用は高めだが効果も大きい。 以下は、テオリアランバーテックでのセルロースファイバー断熱材の吹込み施工の事例です。 施工前 施工後 ●施工情報● (築約35年の木造住宅/長野県長野市) 『こちらは間取り変更等の大規模リノベーションと合わせての断熱リフォームです。壁への断熱材施工は、壁を壊す必要がありますが、部屋単位での施工も可能なため、ライフスタイルや予算に合わせて選択ができることが魅力です。』 断熱リフォームの無料調査実施中 「自宅の断熱性能がどのくらいなのか分からない」「どこから手をつければいいか迷っている」――そんな方には、まず無料の断熱診断サービスをご利用いただくことをおすすめします。 当社(テオリアランバーテック)では、以下のような流れで調査を実施しています。 【無料診断の流れ】 ヒアリング(お困りごと・ご希望を伺います) 現地調査(床下・天井裏・窓などの断熱状況を確認) 診断結果のご報告(断熱材の有無や熱欠損している箇所などわかりやすく解説) リフォームプランのご提案(ご予算・優先度に合わせて提案) 所要時間は約1〜2時間程度(図面がある場合)。無理な営業は一切行いませんので、安心してご相談いただけます。 \ 長野県にお住まいの方 / 「まずは話だけ聞いてみたい」という方も歓迎です。 専用フォームから24時間いつでもお申し込みいただけます。 まずは“知る”ことから始めてみませんか? 高気密高断熱住宅は、新築だけのものではありません。賢くリフォームすることで、今の家でも快適な暮らしを手に入れることができます。 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 自身も新築の際には、断熱性・防音性などに惚れ込み、断熱材「セルロースファイバー」を選択しました。 ふわふわかわいい「セルロースファイバー」の情報、寒い住宅の原因や対策などなど・・・体もお財布も温める情報を発信していきます!