ペアガラスでも結露する?|表面結露と内部結露の原因と対策 公開日:2025年11月19日/更新日:2025年11月19日 監修者斎木 守 住宅省エネアドバイザー/第二種電気工事士/しろあり防除士 三重県出身。学生時代は長野県で農業・畜産を学び、地域のコミュニティ活動にも積極的に参加。寒さには人一倍敏感で、自身も松本市で築30年の木造住宅に暮らし、経験を踏まえて長野県の断熱性能向上を支援しています。YouTube「テオリアチャンネル」でも活躍中。新築・リフォームを含め、これまでに1,800棟以上の断熱工事に携わっています。 毎朝、ペアガラスの窓に水滴がついている—— 「せっかく断熱性の高い窓にしたのに、なぜ結露するの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。 結論から言うと、ペアガラスでも結露は起こります。主な原因は「室内の湿度」「外との温度差」「経年劣化」によるものです。 ペアガラスは単板ガラスに比べて結露を大幅に抑えられる構造を持っていますが、使用環境や時間の経過によって性能が低下することがあります。 この記事では、ペアガラスで結露が起きる仕組みと原因をわかりやすく解説し、日常でできる対策から根本的な改善方法までを紹介します。 目次 Toggle ペアガラスでも結露するのはなぜ?温度差の影響室内の湿度環境経年劣化による性能低下ペアガラスでも結露する主な原因とセルフチェック室内の湿度と換気不足ガラスやサッシの性能不足・劣化ペアガラスでもできる日常の結露対策応急ケア・暮らしの工夫セルフチェックリスト(対策付き)根本解決につながる方法内窓の設置ガラス交換外窓交換注意したい失敗例と対応のコツ安心して相談するためのポイント無料の「結露・窓診断」とご相談のご案内こんな方におすすめご提供する内容(無料)よくあるご質問お申し込み方法 ペアガラスでも結露するのはなぜ? 「ペアガラスにしたのに、なぜ結露が出てしまうのか?」という疑問を抱える方は少なくありません。まずはペアガラスの基本構造を理解すると、その理由が見えてきます。 ペアガラス(複層ガラス)は、2枚のガラスの間に中空層を設け、その空間に乾燥空気やガス(アルゴンガスなど)を封入した構造を持っています。この中空層が断熱材の役割を果たし、外気温の影響を室内に伝えにくくする仕組みです。単板ガラスと比べると表面温度が下がりにくいため、結露は大幅に抑えられるのが特徴です。 しかし、ペアガラスを採用していても結露が発生するケースは珍しくありません。その主な理由は次の通りです。 温度差の影響 冬場など外気温が大きく下がると、窓際のガラス表面温度も下がります。室内の湿度が高い場合、露点温度(空気中の水蒸気が水滴になり始める温度)を下回ったガラス面に水滴が発生します。 露点温度は、次のようになります。 💧湿度70%の場合 室温 湿度 露点温度 25℃ 70% 約 19.0 ℃ 20℃ 70% 約 14.4 ℃ 15℃ 70% 約 9.8 ℃ 💧湿度60%の場合 室温 湿度 露点温度 25℃ 60% 約 16.7 ℃ 20℃ 60% 約 12.0 ℃ 15℃ 60% 約 7.3 ℃ これらの値はおおよその目安ですが、たとえば室温20℃・湿度70%では露点約14.4℃なので、ガラス表面温度が14℃を下回ると結露が始まります。 室内の湿度環境 室内で洗濯物を干したり、加湿器を過度に使用したりすると、空気中の水蒸気量が増えます。湿度が70%を超える環境では、ペアガラスであっても表面結露(窓ガラスの表面に結露が発生)は避けられません。 経年劣化による性能低下 ペアガラスの内部に使われているシール材やスペーサーが劣化すると、中空層の乾燥状態が維持できなくなります。その結果、内部結露(ガラスとガラスの間に曇りが出る現象)が起こり、外観や断熱性能に影響します。 このように、ペアガラスの結露は「製品の欠陥」ではなく、温度差や湿度といった使用環境や時間の経過による劣化が大きく関係しています。したがって、「なぜ結露が起きているのか?」を正しく見極めることが、次の対策につなげる第一歩です。 ペアガラスでも結露する主な原因とセルフチェック 結露の原因は「窓そのもの」だけではなく、室内の生活習慣や建物全体の性能にも大きく左右されます。ここでは代表的な2つの原因と、そのチェックポイントを整理します。 室内の湿度と換気不足 室内の空気に含まれる水分量が多いほど、ガラス表面に結露が生じやすくなります。特に冬場は暖房を使うことで空気が温まり、相対湿度が上昇するため注意が必要です。 洗濯物の室内干し 室内に干すと1回で約2~3リットルの水分が空気中に放出されます。小さな部屋では一晩で窓ガラスがびっしり濡れることもあります。 加湿器の過度な使用 湿度が70%を超えると結露リスクが一気に高まります。湿度計を置いて常にチェックすることが大切です。 換気不足 気密性の高い住宅では空気の入れ替えが不十分になりがちです。24時間換気の使用や、定期的な窓開け換気を取り入れることで湿気を外に逃がせます。 チェックポイント ☑ 朝起きたときや夕方の冷え込み時に窓が曇っていないか? ☑ 湿度計で70%以上になっていないか? ガラスやサッシの性能不足・劣化 ペアガラスは一度取り付ければ永久に性能が続くわけではありません。ペアガラスの寿命は一般的に10~15年が目安とされています。年月が経つにつれて、部材の劣化による影響が現れます。 ガラスのシール切れ ガラスとガラスの間の中空層を密閉するシール材が劣化すると、内部に湿気が入り込み「ガラスの中が曇る」状態が発生します。この内部結露が発生しているのであればガラス交換が必要です。 アルミサッシの影響 一般的に使われるアルミは熱を伝えやすく、外気温が室内側に伝わるため、サッシ部分で結露が発生しやすくなります。樹脂や木製サッシと比べると表面温度が下がりやすいのが特徴です。 チェックポイント ☑ 窓枠の下部やガラスとガラスの間に水滴や曇りが出ていないか? ☑ サッシ周りだけがびしょ濡れになっていないか? これらの原因を切り分けて理解することが、効果的な結露対策につながります。 次は「日常でできる結露対策」を具体的に見ていきましょう。 ペアガラスでもできる日常の結露対策 自然現象のため結露を完全にゼロにするのは困難ですが、日常生活の工夫や簡易的な道具を活用することで、ある程度は軽減できます。ここではすぐに取り入れられる対策と、セルフチェックの方法を紹介します。 応急ケア・暮らしの工夫 1. 拭き取り もっとも手軽で即効性があるのは、結露が出たらすぐに拭き取ることです。 メリット 今ある水滴を除去でき、カビやダニの発生を防げます。 限界 毎日繰り返す必要があり、根本解決にはなりません。 2. 結露防止シートの貼付け ホームセンターやネット通販で手軽に入手でき、窓に直接貼るだけで断熱効果を補えます。ただし、型板ガラス(凹凸ガラス)など装着できない場合もあるため事前の確認が必要です。 メリット ガラス表面温度の低下をある程度抑制できる。 限界 耐久性が低く数シーズンで交換が必要。 3. 除湿機や換気の活用 湿度を下げることは結露対策の基本です。 メリット 室内の水蒸気量を減らし、結露リスクを下げられる。 限界 除湿機は電気代がかかり、広い部屋では効果が薄い場合があります。 4. サーキュレーターや扇風機 窓に向けて空気を流すことで、ガラス表面の温度ムラを和らげます。 メリット 窓付近の冷気を拡散し、結露を軽減。 限界 根本的な断熱不足を補うものではなく、冬は風による体感温度の低下も考慮が必要。 5. 暖房機器の工夫 石油ファンヒーターやガスファンヒーターは使用中に水蒸気を発生させるため、エアコンや電気ストーブがおすすめです。 メリット 乾式暖房を選ぶことで室内の湿度上昇を抑え、結露の発生を防ぎやすくなる。 限界 燃焼式暖房を使う場合は、こまめな換気や湿度管理をしないと効果が薄い。 セルフチェックリスト(対策付き) 日常的に次のような点をチェックすることで、自宅の結露リスクを把握できます。 該当項目があれば、それぞれの状況に合った対策を取り入れましょう。 ☑ 水滴が発生する時間帯はいつか? 朝方の冷え込み時に出るのか、夜の暖房使用時なのかを確認。 → 対策: 朝方に多い場合は「④サーキュレーター」や「②結露防止シート」で温度ムラを抑制。夜の暖房時に多い場合は「⑤暖房機器の工夫」で水蒸気を出さない暖房に切り替える。 ☑ 結露が出る範囲はどこか? 窓全面に広がっているのか、サッシ下部だけなのか、あるいはガラスの内部に曇りがあるのか。 → 対策: 広範囲に出る場合は「③除湿機や換気」で湿度を下げる。サッシ下部だけなら「①拭き取り」をこまめに実施し、カビ防止を。ガラスの内部が曇っている場合は、ガラス交換が必要です。 ☑ カビの発生状況 窓枠のゴムパッキンや木枠に黒ずみが出ていないかを観察。カビは結露が常態化しているサインです。 → 対策: 「①拭き取り」を徹底し、再発するようなら「②結露防止シート」や「③除湿機」を併用。 ☑ 室内の湿度レベル 湿度計を設置して日常的に確認。冬場の目安は40〜60%。 → 対策: 湿度が高い場合は「③除湿機や換気」や「⑤暖房機器の工夫」で湿度を調整。低すぎる場合は乾燥対策も検討。 ☑ 生活習慣との関係 洗濯物の室内干しや加湿器使用後に結露が悪化していないかをチェック。 → 対策: 洗濯物は「③除湿機や換気」で湿気を逃がす。 加湿器の使用は控えめにし、「⑤暖房機器の工夫」で湿度上昇を防ぐ。 根本解決につながる方法 応急的な対策で一時的に結露を抑えることは可能ですが、長期的に快適な住環境を実現するには「根本的な解決」が欠かせません。ここでは、専門的な工事によって結露を抑える代表的な方法を紹介します。 内窓の設置 内窓とは、既存の窓の室内側にもう一枚サッシとガラスを追加する方法です。 ガラスとガラスの間に新たな空気層が生まれることで、外気の冷たさが室内に伝わりにくくなり、窓表面の温度が下がりにくくなります。その結果、結露の発生を大幅に減らせます。 既存の窓も活用でき、防音対策にもなるため、工期も早く価格が抑えられます。ただし、掃除や換気の際に1か所につき2つの窓を開ける手間が増えることは注意が必要です。 ◆ 施工の流れ 1.既存窓枠の採寸 2.内窓フレーム・ガラスの製作 3.室内側に内窓を設置(1箇所あたり1〜2時間程度で完了することが多い) ◆ 費用目安 1窓あたり約5〜20万円 ※窓のサイズやガラス仕様(Low-Eガラスなど)によって変動します。 ガラス交換 結露が内部結露(ガラスの中の曇り)である場合や、窓ガラス自体の性能不足が原因の場合は、ガラスのみを交換する方法が有効です。既存サッシをそのまま活かせるため、比較的手軽に断熱性能を高めることができます。 トリプルガラス 3枚のガラスと2層の中空層で構成され、断熱性・遮音性ともに非常に高いのが特徴です。寒冷地や高性能住宅に多く採用され、室内の暖気を逃がしにくく、外の冷気の影響を大幅に減らします。その分ガラスが厚く重量があるため、既存サッシへの後付けは難しい場合があります。 Low-Eガラス ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングし、室内の熱を逃がしにくく、外気の冷気を遮断します。ペアガラスやトリプルガラスに採用されることが多く、断熱と日射遮蔽のバランスに優れています。結露の抑制効果が高く、省エネ性能の向上にもつながります。 真空ガラス 2枚のガラスの間を真空にすることで、熱や音の伝わりを極限まで抑えた高性能ガラスです。ペアガラスよりさらに断熱性能が高く、薄いのに効果が大きいのが特徴です。既存のアルミサッシに組み込める製品もあり、リフォームでも採用しやすい点が魅力です。 ◆ 施工の流れ 1.既存サッシの採寸・ガラス種類の選定 2.既存ガラスを取り外し、新しい断熱ガラスに交換 3.コーキングやパッキンで気密を確保し、仕上げを確認(1箇所あたり30分〜1時間程度) ◆ 費用目安 1窓あたり約5〜20万円 ※ガラスの種類やサイズ、サッシ形状により変動します。 外窓交換 サッシ自体の性能不足が原因で結露が発生している場合は、サッシごと交換する「外窓交換」が有効です。窓枠から一新することで、断熱・気密・遮音すべての性能を大幅に向上させることができます。 工法には、外壁を壊さず既存枠に新しい窓をかぶせる「カバー工法」と、古い枠を撤去して新しいサッシを取り付ける「ハツリ工法」があります。カバー工法は工期が短く、室内外への影響が少ない一方、ハツリ工法は外壁補修を伴う分、コストは高めですが仕上がりがより新築に近くなります。 樹脂サッシ アルミに比べて熱を伝えにくく、サッシ部分の結露を大幅に抑制できます。気密性・断熱性の高い住宅には特に効果的で、ガラス性能を十分に活かすためにもサッシごとの改修が推奨されます。デザイン性やカラーバリエーションも豊富で、断熱リフォームの定番素材です。 ◆ 施工の流れ 1.既存の外窓・サッシの取り外し 2.新しい樹脂サッシと断熱ガラスの組込み 3.外壁や内装の取り合い部を補修し、気密・防水を確認 ※カバー工法を採用すれば外壁を壊さず施工可能(1箇所あたり半日〜1日が目安) ◆ 費用目安 1窓あたり約5〜30万円 ※工法(カバー工法/ハツリ工法)やサッシ性能によって費用は変動します。 このように「内窓の追加」「ガラス交換」「外窓交換」といった方法を選択することで、結露の根本原因を断ち、住まいを快適で健康的に保つことができます。 注意したい失敗例と対応のコツ 結露対策を考えるとき、手軽な方法や単体工事に頼ってしまうケースがあります。しかし、安易な判断がかえって問題を悪化させることも少なくありません。ここでは代表的な失敗例と、その回避のためのコツを解説します。 ペアガラス交換だけで改善しないケース 「単板ガラスをペアガラスに交換すれば結露はなくなる」と考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。 ・室内の湿度管理ができていなければ、ペアガラスでも表面結露は発生します。 ・実際に、ペアガラスに交換したにもかかわらず「以前とあまり変わらず毎朝水滴がつく」と悩む声も聞かれます。 このような場合は、「窓」だけでなく「湿度コントロール」も同時に考える必要があるのです。 結露防止シートでカビが発生する事例 市販の結露防止シートは、ガラス表面に貼るだけで簡単に使える便利な商品です。しかし、長期間そのままにしておくと問題が起こることがあります。 ・シートの裏側に水分がたまりやすく、目に見えない部分でカビが発生。 ・剥がしたときに黒ずみが残り、掃除や補修が必要になることも。 ・特に換気が不十分な北側の窓などでは、このリスクが高まります。 使う場合は、シーズンごとに貼り替える・定期的に剥がして乾燥させるといった管理が欠かせません。 対応のコツ ・「単体工事やグッズで完結しない」ことを前提に、生活習慣・断熱・換気をトータルで見直す。 ・DIYや市販品を使う場合は、効果とリスクを理解したうえで、応急処置と割り切る。 ・根本的に改善したい場合は、専門業者による現場調査を受け、建物全体の断熱バランスを考えた提案を受けるのが安心です。 つまり「結露対策=窓ガラスを替えるだけ」では十分ではありません。生活習慣の改善から断熱リフォームまで、多角的な視点を持つことがトラブル防止につながります。 安心して相談するためのポイント 結露対策を根本から解決するには、専門業者の知識と経験が欠かせません。しかし「どの業者に頼むべきか」で迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、信頼できる相談先を選ぶためのチェックポイントを整理します。 1. 施工実績の有無 過去にどのくらいの工事を手掛けているかは重要です。特に窓リフォームや断熱工事の実績が豊富な業者は、住まいの状態に応じた柔軟な提案ができます。施工事例が公開されているかどうかも確認しましょう。 2. 補助金や助成制度への対応 断熱リフォームや内窓設置には、国や自治体の補助金制度が使える場合があります。制度に精通し、手続きまでサポートしてくれる業者を選ぶと、費用負担を抑えられます。 3. 断熱知識と総合的な視点 結露は窓だけでなく、床下・天井・換気など家全体の性能に影響されます。窓リフォームだけでなく断熱リフォーム全般に知識がある業者なら、部分的な対応に終わらず、長期的に快適な住環境を実現できます。 無料の「結露・窓診断」とご相談のご案内 こんな方におすすめ ・ペアガラスなのに毎朝びっしり結露する ・室内の湿度管理をしているのに改善しない ・サッシやガラスの交換か、内窓で迷っている ・補助金の適用可否や最適なタイミングを知りたい ご提供する内容(無料) 窓まわりの性能チェック:ガラス仕様・スペーサー・気密の確認 最適化プランの提案:内窓/ガラス交換/外窓交換から最適な方法を提案 補助金活用した見積り:最新制度の適用可否と想定額を目安提示 無理な売り込みは行いませんので、ご安心ください。 よくあるご質問 Q. 診断だけで費用はかかりますか? A. 長野県内全域、無料で断熱調査いたします。見積りも無料です。窓だけでなく、床下・天井の無料断熱調査も併せて実施可能です。 Q. 対応エリアは? A. 長野県内を中心に対応しています。まずはご相談ください。 Q. いつが最短施工ですか? A. 窓種や在庫により変わります。補助金の申請もありますのでお早めにご相談ください。 お申し込み方法 ▼ WEBから24時間受付 ▼ お電話相談:平日 8:30–17:30 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 自身も新築の際には、断熱性・防音性などに惚れ込み、断熱材「セルロースファイバー」を選択しました。 ふわふわかわいい「セルロースファイバー」の情報、寒い住宅の原因や対策などなど・・・体もお財布も温める情報を発信していきます!