防音効果もある断熱材!セルロースファイバーの防音性能を徹底解説! 公開日:2023年5月1日/更新日:2024年10月22日 住宅やオフィスビルなどの建物において、快適な環境を実現するためには、断熱材や防音材の使用が必要不可欠です。その中でも、セルロースファイバー断熱材は環境にやさしく、優れた断熱性能があることが知られています。しかし、その防音性能については、まだあまり知られていません。そこで、本記事では、セルロースファイバー断熱材の防音効果について、解説しようと思います。 目次 Toggle セルロースファイバー断熱材とは?セルロースファイバー断熱材の防音性能とは?防音性能のメカニズム防音効果の測定方法音の透過損失測定法吸音係数測定法さらに防音性を向上させるには施工厚の調整壁面の構造周辺材料の選択動画で見るセルロースファイバーの防音効果まとめ セルロースファイバー断熱材とは? セルロースファイバーは新聞古紙などの紙からリサイクルされた安全で高性能な断熱材です。 7つもの特徴を持ち「断熱材の王様」とも呼ばれています。 高い断熱効果 調湿性 耐火性 防音性 撥水性 防カビ効果 防虫効果 天然の木質繊維であるセルロースファイバーの中には無機繊維にはない自然が包み込んだいくつもの小さな空気胞が存在します。 一本一本の細かい繊維が絡み合うことで、空気の層を作り熱や音を伝えにくくします。 このため繊維内部に空気胞を持たない(グラスウールなどの)無機繊維系の断熱材よりも高い断熱性能を発揮します。 また、施工性にも優れ、細かい隙間、筋交いなどにも充填することができ、効果的に断熱性能を向上させることができます。このような特徴から、現在では多くの住宅や工場、店舗などの建物において、断熱材として使用されています。 セルロースファイバー断熱材の防音性能とは? セルロースファイバー断熱材は、空気を含んだ多孔質の材料であり、その構造が防音性能にもつながります。断熱材自体は細かないばら状の断熱材をギュギュっと圧縮しながら高い密度で壁や床などに充填していきます。この高密度な状態が、防音効果を高める要因となります。具体的には、材料内部に入り込んだ音波が、材料中で反射、屈折、吸収されることで、建物内の音の伝達を防止することができます。 主に住宅では幹線道路沿いや線路付近の騒音を解消するほか、ピアノ室、シアタールーム、浴室やトイレの間仕切り壁、寝室の間仕切り壁など部分的に施工することも可能です。 セルロースファイバーの空気胞(引用元:王子製袋「ダンパック」) セルロースファイバー断熱材の防音性能は、材料の密度によって変化します。一般的に、密度が高いほど防音効果が高くなります。また、材料の厚みや充填量(断熱材の重さ)によっても防音効果が変化します。 防音性能のメカニズム 音は、物体の振動によっておこる「波」が、空気や水・木材(個体)などを伝わり耳に届いて音が聞こえます。そのため、音を抑えるには振動をいかに抑えるかがポイントになります。 音は大きく分けて二種類あります。一つは空気伝播音で、空気中を伝わる音です。例えば、飛行機や車の走行音などがこれにあたります。もう一つは固体伝播音で、壁や床などの物体を伝わる音です。例えば、階上の足音やドアの閉まる音などです。 セルロースファイバーは両者の音の軽減に有効な断熱材で、特に空気伝播音の防音効果に威力を発揮します。空気伝播音は、空気中で波長が長く振幅が大きい低周波数帯から始まります。この低周波数帯の音は人間の耳には聞こえにくいですが、壁や床などの物体に当たると振動しやすくなります。この振動が固体伝播音として耳に届くと、不快感やストレスを感じることがあります。 セルロースファイバーは高密度で充填されているため、空気伝播音の波長を吸収しやすくなります。また、セルロースファイバーは新聞紙の古紙からできているため、繊維が多く空気層が多いです。この空気層が音の振動を減衰させる役割を果たします。さらに、セルロースファイバーは壁や床などの隙間にしっかりと充填されるため、音の漏れを防ぎます。これらの特徴により、セルロースファイバーは空気伝播音を効果的にカットすることができます。 固体伝播音に対しても、セルロースファイバーは一定の効果を発揮します。固体伝播音は、物体の振動によって伝わる音なので、物体の重量や密度が高いほど防音効果は上がります。セルロースファイバーは高密度で充填されているため、物体の重量や密度を高めることができます。ただし、固体伝播音は完全に防ぐことは難しいです。そのため、セルロースファイバーだけではなく、二重窓や防音ドアなどの併用がおすすめです。 防音効果の測定方法 セルロースファイバー断熱材の防音効果を測定する方法としては、以下のようなものがあります。 音の透過損失測定法 音の透過損失測定法とは、材料を壁面に取り付けた上で、あらかじめ決められた周波数の音を発生させ、壁面の向こう側にどの程度音が伝わるかを測定する方法です。 吸音係数測定法 吸音係数測定法とは、材料表面にあたる音を発生させ、その音の反射量と吸収量を測定することで、材料の吸音性能を評価する方法です。 以上の測定方法によって、セルロースファイバー断熱材の防音性能が確認されています。実際に、セルロースファイバー断熱材は、密度が高い場合には、優れた防音効果を発揮します。また、材料の厚みや充填量によっても変化するため、適切な厚みや充填量を設定することで、より高い防音効果を発揮することができます。 さらに防音性を向上させるには さて、セルロースファイバー断熱材の防音効果を向上させる方法どのようなものがあるでしょうか。 施工厚の調整 セルロースファイバー断熱材を厚く施工することで、充填量も増えより高い防音効果を発揮することができます。 壁面の構造 セルロースファイバー断熱材を使用する際には、壁面の構造にも注意が必要です。壁面の構造が不適切な場合には、効果的な防音ができないことがあります。壁面の構造を改善することで、より高い防音効果を発揮することができます。 周辺材料の選択 セルロースファイバー断熱材を使用する際には、周辺材料の選択にも注意が必要です。例えば、床材や天井材にも適切な防音性能を持つ材料を使用することで、より高い防音効果を発揮することができます。 動画で見るセルロースファイバーの防音効果 まとめ 以上のように、セルロースファイバー断熱材には優れた防音効果があります。適切な厚みや充填量、壁面の構造、周辺材料の選択などを考慮することで、より高い防音効果を発揮することができます。 また、セルロースファイバー断熱材は、自然素材であるため、環境にも優しい材料です。リサイクルされた新聞紙を原料としているため、リサイクルの循環を促進することができます。また、製造工程でもエネルギー消費量が少ないため、CO2排出量を低減することができます。 さらに、セルロースファイバー断熱材は、防火性能にも優れています。火災発生時には炭化現象が起こり、酸素を遮断するため、炎の拡散を防止することができます。また、発煙量も少なく有毒ガスの発生がないので、安全性が高い材料です。 以上のように、セルロースファイバー断熱材は、優れた防音性能だけでなく、環境にも安全性にも配慮した優れた材料です。住宅や建築物の断熱材としてだけでなく、防音材料としても幅広く使用されています。 優れた防音効果を発揮するセルロースファイバー。断熱リフォームをご検討の際には、断熱性能以外の特徴にも注目してみると良いかもしれません。 \長野県内 断熱調査無料♪/ 長野県内で多くの断熱リフォーム実績のあるテオリアランバーテックにお気軽にご相談ください。