【長野県】セルロースファイバーで非破壊断熱

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セルロースファイバー断熱材の沈下問題を徹底解説!知っておくべき沈下メカニズムと対策

よくネット上で充填(じゅうてん)断熱について「沈む・沈下する」という記事を見かけることはありませんか?
ひとくちに断熱材と言っても素材や施工方法なと様々なものがありますが、今回は充填断熱の中でも自然素材の「セルロースファイバー断熱材」の沈下についてお話ししていこうと思います。

※「充填断熱」とは、ボート状などに形成されておらず、ホースなどを通して「吹込み」または「吹付る」方法です。

セルロースファイバー断熱材の基本と沈下の問題点

セルロースファイバー断熱材は、製造時のCO2排出量が低く環境負荷も少ないため、新築やリフォームに広く採用されています。この断熱材は古紙(主に売れ残った新聞紙)を主原料としており、断熱性能や耐火・調湿・吸音など様々な付加機能を有していることから、ヨーロッパやアメリカの断熱先進国でも高く評価されています。

しかし、充填断熱材の中でも比重が重く、施工に知識とスキルが必要な断熱材であるため、専門会社による施工が一般的であり、仕上がりは業者の施工品質やスキルに大きく依存する点が懸念されます。特に問題とされるのが、施工後に断熱材が沈下することです。

沈下とは、重力の影響で断熱材が時間とともに下に沈んでしまう現象を指し、この問題が発生すると建物の断熱性能が低下し、快適性やエネルギー効率に悪影響を及ぼす可能性があります。本章では、セルロースファイバー断熱材の基本特性、沈下が生じる原因、そしてその問題点について詳しく解説します。

沈下の原因 – セルロースファイバー断熱材が沈下する主な原因とそのメカニズム

セルロースファイバー断熱材の沈下は、主に施工時の不均一な吹き込み、適正密度不足、そして時間の経過による断熱材そのものの重さで沈み込む自重沈下で発生します。施工時に断熱材が均一に施工されていないと、すき間や密度の不均一が生じ、将来的に断熱層が落ち込む原因となります。
また、施工後の湿度が高い環境にさらされると、セルロースファイバーは湿気を吸収しやすく、その重みで材料が沈むことがあります。セルロースファイバーを施工する業者にはこれらの要因を理解し、きちんとした施工技術と知識が求められます。

ブログ画像_適正圧不足、すき間

沈下の影響 – 断熱材の沈下が住宅の性能や居住環境に与える影響

断熱材が沈下することで、もっとも直接的に影響を受けるのは建物の断熱性能です。断熱層にすき間が生じると「断熱欠損」となり部分的には無断熱となるため、冷暖房の効率が低下します。これは光熱費の増加に直結し、また、室内の温度差が大きくなることで居住者の快適性が低下する原因にもなります。さらに、断熱性能が低下すると、結露やカビの発生リスクも高まり、これが健康問題につながることも少なくありません。

ブログ画像_施工不備による熱欠損

対策とメンテナンス – 沈下を防ぐための具体的な対策と、既に沈下が起こっている場合の手直し方法

沈下を防ぐためには、まず施工時の品質管理が重要です。均一に吹き込む技術と正確な厚み(使用量)の確認が必要であり、専門会社の中でも実績が多く、しっかりとした知識をもった地域の施工会社に依頼することが望ましいです。また、建物の湿度対策を意識し、防湿気密シートや可変調湿気密シートで断熱材が湿気を吸収することがないようにすることも効果的です。すでに沈下が発生している場合は、追加の断熱材を吹き込むことで、断熱層の厚みを回復(再吹込み)させる方法が一般的です。これにより、断熱性能を復旧させることができます。
ただし、壁と床の断熱材については施工後に目視ができなくなってしまうため、新築やリフォームを依頼する専門店や工務店などと事前に打ち合わせを行うことが重要です。


テオリアランバーテックで施工する際の密度基準
<施工密度>
天井(小屋裏):25kg/㎥
壁:55kg/㎥
床下:55kg/㎥

例えば・・・
「天井(小屋裏):25kg/㎥」の場合、高さ1m×幅1m×奥行1mの空間に施工した場合は断熱材の重量が25kgになります。

ブログ画像_1㎥の空間に施工した場合(小屋裏イメージ)

施工の厚みによる断熱材の重さ
100mm⇒2.5kg/㎡
200mm⇒5kg/㎡
300mm⇒7.5kg/㎡
400mm⇒10kg/㎡

ブログ画像_25kg/㎡で100~400mmの厚さで施工した場合の重量(小屋裏イメージ)

天井施工の場合はセルロースファイバー製造メーカーの沈下性試験で自重で8%沈下することから、弊社では施工時に仕様厚みより10%多く施工(200mmの場合は220mmで施工)することで、自重沈下後も仕様厚みを下回ることがないように施工します。

 

比重が重いことによるメリット

セルロースファイバー断熱材はその高密度な重さから生まれるいくつかのメリットを持っています。これらの特性は、住宅や商業施設の建築において重要な役割を果たし、さまざまな面での性能向上に寄与します。特に、この材料の比重が重いことは、以下のような複数の利点を提供します。

1. 優れた吸音性
セルロースファイバーの重さは、音の伝達を効果的に減衰させます。また、繊維自体の空気胞により入射した音エネルギーを熱エネルギーに置換するさようがあります。さらに繊維同士が絡み合うことにより厚い空気層を保持するため、これにより、優れた吸音断熱性能を発揮し、外部の騒音や隣室間の音の伝わりを抑えることができます。特に都市部や騒音が問題となりやすい地域、生活リズムの異なる家庭において、この特性はストレスを軽減し住環境の質を向上させます。

2. 熱エネルギーの蓄積と放出
セルロースファイバー断熱材は、その重さにより多くの熱蓄積能力を持ちます。これにより、日中に吸収した熱を徐々に放出することができ、夜間の室内温度を安定させる助けとなります。この特性は、エネルギー消費を抑え、光熱費の削減につながります。
断熱材は、もともと寒冷地の厳しい冬に対応するために北欧諸国やドイツなどから発展してきました。日本でもこの技術を取り入れて冬の寒さから守る努力をしてきました。しかし、近年の気候変動により、日本でも、夏の猛暑が新たな課題となっています。
このような状況の中で注目されるのが断熱材の「蓄熱性」です。従来、日本では断熱性能を主に熱伝導率の低さで評価してきましたが、これだけでは夏の高温を十分に対処することができません。「実際に私たちが感じるのは室温そのものよりも、壁からの放射熱であり、この熱が蓄えられているかどうかが、快適さに大きく影響します。壁の表面温度が一定に保たれると、体感的にも快適に感じるわけです」
通常、断熱性が高い材料というのは、クッション梱包材やグラスウールのように軽くて空気を多く含むものが多いです。一方で、蓄熱性を持つ材料は土壁やレンガのように重量があるものが一般的です。これらは性質上、お互いに対照的ですが、セルロースファイバー断熱材はこれらの特性をバランス良く兼ね備えています。この材料は木材から作られ、その熱容量が高く、湿度を調整する透湿性も持っているため、日本のような高温多湿な夏に特に適しています。このように、セルロースファイバーは、夏の暑さだけでなく、冬の寒さにも対応することができるため、年間を通じて快適な居住環境を提供するのです。

3. 安定した断熱性能
重い断熱材は設置後の位置変動が少ないため、時間が経過しても断熱層の性能が維持されやすいです。セルロースファイバーは他の軽量断熱材に比べてこの点で有利であり、長期にわたって安定した断熱効果を提供します。

4. 耐火性の向上
セルロースファイバーは比較的高い耐火性を持ちます。重量があるため、火災時に燃え広がる速度を遅らせる効果があり、構造の安全性を高めるのに効果的です。また、セルロースファイバーにはホウ素系の薬品による防火処理が施されることが多く、これがさらに耐火性を強化します。

5. 環境への優しさ
セルロースファイバーは古紙から作られており、その製造過程は環境への影響が非常に低いです。重い断熱材を使用することで、より少ない量で高い断熱効果が得られ、資源の効率的な使用が可能になります。

これらのメリットから、セルロースファイバー断熱材は住宅や商業ビル、公共施設など、多様な建築物において、効果的で持続可能な断熱材として注目されています。

まとめ

セルロースファイバー断熱材は環境に優しく、耐火性や調湿、吸音性に優れていますが、施工後の「沈下」により断熱性能が低下する可能性があります。この問題は適切な施工技術と湿度対策で防ぐことができます。弊社は施工実績7000棟以上の経験から1棟1棟に合った施工方法で一年中快適な居住環境を提供し、エネルギー効率の向上をサポートいたします。暑さ寒さや結露でお困りの方やもっと具体的にお話を聞きたい方は、ぜひお問い合わせください。

 

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