【断熱リフォーム】8種類の断熱材を比較!選ぶポイントは、性能・価格だけじゃない! 公開日:2022年9月20日/更新日:2024年11月13日 ひと言に「断熱」と言っても、住宅の断熱にはいろいろな種類と方法があり、断熱効果を考えるとリフォーム箇所の優先順位が重要になります。 今回は、たくさんある「断熱材」の種類と特徴を紹介していきます。 断熱材を選ぶポイントとして、断熱性能や価格だけでなく、防音性・不燃性・調湿性・防虫性にも注目してみてください。 \断熱材選びにお悩みの方におすすめの記事です/ 「断熱材ってどんなものがあるの?」 「どの断熱材がいいのかわからない」 「断熱性能以外に選ぶポイントってあるの?」 目次 Toggle 断熱材の性能と厚み断熱材の性能とは断熱材の厚み断熱材選びのポイント断熱材の防音性断熱材の不燃性断熱材の調湿性断熱材の防虫性断熱材の種類無機繊維系グラスウールロックウール木質繊維系セルロースファイバー自然系羊毛(ウール)発泡プラスチック系押出法発泡ポリスチレンビーズ法ポリスチレンウレタンフォームフェノールフォーム「断熱材を選ぶポイント」まとめ 断熱材の性能と厚み 断熱材には多くの種類があります。後で8つの断熱材を比較いただけますが、まずは断熱性能と厚みについてお話していきます。 断熱材の性能とは 「どんな断熱材がいいのか?」・・・もちろん断熱性能の良いものを選びたいですよね。 断熱性能を比較するには、断熱材に表記されている熱伝導率というものをチェックします。熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを表します。よって、熱伝導率が低い断熱材は断熱性能が高いということになります。 断熱材の厚み 熱伝導率の低いもの(断熱性能の高いもの)は、断熱材を選ぶモノサシになります。しかし注目すべきは熱伝導率の低さだけではありません。 熱伝導率の低い断熱材でも、適切な厚みがないと断熱効果は発揮できませんし、その逆に熱伝導率が低くても厚みをとることで断熱効果がアップするのです。 例えば、床下の断熱リフォームの際に、施工できる厚みが100mmしかない場合には使用できる断熱材は限られますが、施工できる厚みが十分に確保できる場合には断熱材の選択肢の幅が広がります。 また、セルロースファイバーや吹き込み工法のグラスウール・吹き込み工法のロックウールなどは、マット状のものとは違い既存の断熱材に重ねて隙間なく施工することができます。つまり、断熱リフォームにおいて既存断熱材を活用できるためコスト削減や環境に配慮した工事が可能ということです。 断熱材選びのポイント 断熱材には、断熱性能と施工する際の厚みが重要であるというお話をしました。しかし、断熱材には防音性・不燃性・調湿性・防虫性といった性能が含まれるものがあります。 断熱性能と併せてこれらを比較することで、より自分の生活環境にあった断熱材選びができるでしょう。 断熱材の防音性 例えば、弊社で取り扱っている木質繊維系の断熱材「セルロースファイバー」は、防音性に優れることからピアノ室・シアタールーム・交通量の多い道路に面する住宅などに好まれます。 ご自宅の場所や、部屋の使用方法などに応じて防音性の高い断熱材を選ぶという選択肢があります。 ▼断熱材の王様「セルロースファイバー断熱材」の吸音性能の魅力に迫る(YouTube) 断熱材の不燃性 不燃性の断熱材は、火災が発生した場合に延焼を防ぎます。 また、燃えた時に有毒ガスが発生する断熱材もあるため、万が一のことを考えると不燃性についても重要なポイントと言えるでしょう。 ▼セルロースファイバーの防火性検証実験/色んな断熱材を燃やしてみました(YouTube) 断熱材の調湿性 高気密高断熱住宅が注目される昨今、壁内結露を防ぐには調湿性を持つ断熱材選びだけでなく、断熱材・防湿気密シート・壁材などの構造と材料の組み合わせが重要です。 しかし、既存住宅の断熱リフォームの際には、元々の構造や既存の材を活かす場合も多く、壁内結露のリスクを減らすためにも調湿性のある断熱材を選ぶと良いと言えるでしょう。 壁内結露(内部結露)とは・・・建物の壁・床・屋根の内側(構造内部)で発生する結露。室外と室内の温度差で空気中の湿気が冷え水滴となります。壁の中など目に見えない場所で起きるため発見が遅れ、木材の劣化・断熱材の劣化・カビやダニの発生など建物の寿命を短くするだけでなく、健康にも影響を及ぼします。 断熱材の防虫性 防虫性でお話ししたいのが、シロアリについてです。シロアリはご存じの通り、お家の土台や柱といった木材を食害し、建物の耐久性を低下させます。恐ろしいシロアリ被害ですが、断熱材の選択によってこのシロアリ被害の発見が遅れることがあるため、この防虫性についても併せて確認が大切なのです。 左下の写真の丸で囲った部分ですが、発泡プラスチック系断熱材へのシロアリ進入の痕跡です。これを剥がしてみると右下の写真のように、断熱材と基礎の内側や断熱材そのものにシロアリが侵入していたことが分かります。もちろん断熱材自体が悪いわけではありません。断熱材の特徴を理解して、対策をする必要があるのです。 ▶被害が増えているシロアリと床下断熱材について 断熱材の種類 断熱材には大きく分けて無機繊維系・木質繊維系・自然系・発泡プラスチック系があります。 では、それぞれの特徴をお話ししていきましょう。 無機繊維系 無機繊維系とは、ガラスや石などの鉱物を人工的に加工して作られた断熱材です。 グラスウール グラスウールは、ガラスを溶解した繊維からできた綿状の素材です。コスパが良く昔からよく使われますが、湿気に弱いので結露に注意が必要です。正しい施工がされていないとカビの原因となったり、断熱材が潰れるため断熱性能が落ちるといったことがあります。また、マットタイプのグラスウールは丁寧な施工がされていないと、筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下や結露ができてカビの発生に繋がります。 住宅における断熱が注目される昨今では、グラスウールの高性能タイプの使用がスタンダードとなっています。こちらは断熱性能・価格ともにアップします。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.05~0.036) ◎ 防音性 不燃性 ◯ ◯ 調湿性 防虫性 × × ロックウール ロックウールは、玄武岩や天然岩石を溶解した繊維からできた綿状の素材です。グラスウールと比べると値段は少し高めで、撥水性があるので断熱材が潰れづらいのですが、水に濡れると断熱性能が落ちてしまうので内部結露(床下・壁体内・天井裏などで発生する結露)に注意が必要です。グラスウールより吸音性に優れ、不燃性もあります。こちらもマットタイプは、丁寧な施工がされていないと筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下や結露ができてカビの発生に繋がります。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.038) ◎ 防音性 不燃性 ◯ ◯ 調湿性 防虫性 × × 木質繊維系 木質繊維系とは、木材や木材を原料とする素材を加工して作られた断熱材です。 セルロースファイバー セルロースファイバーは、古紙や未使用新聞紙の繊維からできたバラ綿状の素材です。値段は高めですが、断熱性・調湿性・不燃性・吸音性に優れ、防虫・防カビに優れた断熱材です。難燃剤としてホウ酸を含んでいるため、カビやシロアリ・ゴキブリといった害虫にも効果的です。別途シロアリ予防は必要ですが、万が一シロアリやゴキブリが侵入してきたとしても繁殖を防ぐことができます。 施工方法は、専用の機械を使ってシートを貼った壁にセルローズファイバーを吹き込むので、筋交いやコンセント部分も隙間なく施工できます。こちらも施工がきちんとされていないと、シート内でセルロースファイバーが沈下して、隙間が発生してしまいます。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.04) △ 防音性 不燃性 ◎ ◯ 調湿性 防虫性 ◯ ◯ 自然系 自然系とは、羊の毛やコルクなど自然素材から作られた断熱材です。木質繊維系のものも自然系であると言えます。 羊毛(ウール) 羊毛(ウール)は、羊の毛とポリエステルやトウモロコシの繊維からできた綿状の素材です。値段は高めですが、調湿性に優れており商品によっては防湿シートを使用せずに施工できるので、コストカットが見込めます。断熱性・調湿性・難燃性・吸音性・防虫に優れ、結露が起こりづらい断熱材です。こちらもマットタイプは、丁寧な施工がされていないと筋交いやコンセント部分などに隙間が発生し、断熱効果の低下に繋がります。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.04) ◯ 防音性 不燃性 × ◯ 調湿性 防虫性 ◯ ◯ 発泡プラスチック系 発泡プラスチック系とは、石油が原料となっており独立した小さな気泡の中にガスを閉じ込めた断熱材です。シロアリの被害を受けやすいので、特に基礎断熱では防蟻処理が施された商品を使うなど対策が大切です。 押出法発泡ポリスチレン 押出法発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを原料とし発泡剤・難燃剤を加えた板状の素材です。次に出てくるビーズ法よりも断熱性は高く、熱には弱いが水や湿気に強く基礎断熱や外断熱によく使用されます。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.04~0.024) ◯ 防音性 不燃性 △ × 調湿性 防虫性 × × シロアリ注意 ビーズ法ポリスチレン ビーズ法ポリスチレンは、ポリスチレンを原料とし発泡剤・難燃剤を加えた板状の素材です。原料は押出法と同じですが、こちらはビーズ状にしたものを板状に成形しています。一般的に発泡スチロールと呼ばれます。押出法にはわずかに劣りますが断熱性は高く、熱には弱いが、水に強い断熱材です。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.041~0.034) 〇 防音性 不燃性 △ × 調湿性 防虫性 × × シロアリ注意 ウレタンフォーム ウレタンフォームは、板状に形成されたものと現場発泡(スプレーするとウレタンが膨らみ自己接着)するものがあります。気密性・断熱性が高く、薄くても効果を発揮します。熱に弱いので火事などで壁が燃えていなくても内部で断熱材が縮んでしまったり、燃えた時には有毒ガスが発生します。価格は高いですが、水に強い断熱材です。シロアリ被害の報告もありますので、防蟻性能のある商品を選びましょう。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.04~0.023) 〇 防音性 不燃性 △ × 有毒ガス注意 調湿性 防虫性 × × シロアリ注意 フェノールフォーム フェノールフォームは、フェノール樹脂(鍋やフライパンの持ち手などに使われる)からできた板状の素材です。断熱性は特に高く、薄くても効果を発揮します。熱に強く燃えにくいですが、価格が高い断熱材です。シロアリ被害に注意が必要です。 断熱性(熱伝導率) 価格 (0.036~0.022) △ 防音性 不燃性 × ◯ 調湿性 防虫性 × × シロアリ注意 「断熱材を選ぶポイント」まとめ 断熱材選びのポイントは以下のようになります。 断熱材の熱伝導率の低いものが、断熱性能が高い 断熱材の厚みをとることで、断熱効果を上げることができる 隙間の出来づらいセルロースファイバーなどの吹き込み工法では、リフォームの際に既存断熱材を活用することでコスト削減が可能 お住まいの環境やお部屋の使用環境に合わせて断熱材の「防音性」にも注目 もしもの火事の時、延焼を抑える「不燃性」にも注目 既存住宅の断熱リフォームでは、壁内結露のリスクを減らすためにも「調湿性」にも注目 断熱材でシロアリ被害の発見が遅れることも・・・「防虫性」にも注目 リフォームの場合にはご希望の断熱材では施工が出来ないこともあります。お悩みを相談し、きちんと現場調査をしてから、納得のいく断熱リフォームを進めていただきたいと思います。 テオリアランバーテックでは、セルロースファイバーを使用した断熱リフォームを行っております。 セルロースファイバーは、高い断熱性能の他にも、防音性・不燃性・調湿性・防虫性に優れ、吹き込み工法のため隙間が出来づらいことが特徴です。 長野の寒ーい冬には、引っ越し不要の『床下断熱リフォーム』。 和室だけ、キッチンだけ、リビングだけ など、この部屋だけの『ひと部屋断熱』。 その他にも、断熱プランをご用意しておりますので、気になることがありましたら、お気軽にテオリアランバーテックまでお問い合わせくださいませ!(^^)/ 執筆者 Ikeda 寒さは苦手な夏生まれ女子。断熱・シロアリ・エクステリアを勉強中。 ふわふわかわいい?『セルローズファイバー』、寒い住宅の原因や対策などなど・・・ 体もお財布も温める情報を発信していきます!